"Mr&Mrs Ogiwara detective office" 事件簿1
両親に捨てられた悔しさと、一人で生きていかなくてはいけないこの先の生活を思って泣けて、そんな自分の境遇がおかしかった。

こんな中学生はなかなかお目にかかれないだろうとちょっと自慢だったりした。

お金を稼ぐことには不安はなかった。

今でも年齢を偽ってメイド喫茶やコンカフェで時々バイトをしているのだ。

それを続けていれば生活費は軽く稼げる。

メイド喫茶やコンカフェに来る客は、なぜか純粋でオタク系の男が多い。

そんな男たちにお涙頂戴の話をすればたいていお金を融通してくれる。

そうして男たちからお金を貢がせることを覚えた。  

中学を卒業してから25年余り日本全国の繁華街を巡った。

地方では東京の言葉がかっこいいと言われる所もある。

その反面東京では関西弁や博多弁が可愛いと言われる。そんな方便も自由自在に使える。

夢野はあまり頭はよろしくないと自分でも思っている。

学校の成績も悪かったし何かを覚えるのが苦手なのだ。

でも、日本語の方便は自信がある。いろんな土地に行ったのでその土地の方便をすぐに覚えた。

イントネーションや語尾を上げる下げるで言葉の印象はかなり変わるのだと、そう言う事は覚えることができるのだ。

生活の為男を騙す為に必死で覚えた。人を騙してなんぼの世界で生きてきたのだ。

そうやっていつも一人で色々な所でバイトして生きてきた。

風邪をひいても医者には行かなかった。保険証がなかったのでいけなかったのだ。

運転免許証は持っている。何かで身分を示さないといけない時の為には便利だからだ。

でも本籍も現住所も変えたことがないので、中学校まで暮らしていた家になっている。

だから、純情青年と同じような身の上とは全然違う。

かえって孤児院出身の子の方が初心で純粋で人生をしっかり生きようとしているのかもしれない。

親に捨てられて途中からは自分ひとりの力で生きていかなければならなかった自分と比べれば、孤児院の方が待遇は良いだろう。

夢野は友達も頼れる大人も誰もいなかったのだ。

人に優しくなんてしていたら明日食べる物にも困るのだ。

その男の望む女になって1円でも多く金を貢がせるのが、夢野の生きていく術なのだから

夢野は容姿だけは恵まれていた目じりの少し下がった二重の切れ長の目は幸薄そうに見えて、全体に可愛い系の顔は齢よりも幼く見える。

ちなみに今でも40歳目前なのに25歳と言っているのだからそれでも周りの人には信じてもらえている。

顔や体の手入れも怠らない。胸がほどほどに大きくてスタイルがいいので、この体に夢中になる男も多い

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