カラーリップ

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なんだかんだ見て回ってたらもう夕方になってた
結局今日買ったのはカラーリップ一つだけ
垢抜けはまだまだ難しそうだなあ

自転車の鍵を差し込もうとした瞬間、スマホが鳴った
画面を覗くと、友達からのLINE。

『ごめんね、昨日は! 今度、埋め合わせに近所の公園でお花見しない?
コンビニで適当に買い出ししてさ。
あ、伊藤くんたちも誘ってみたから、結構人数集まるかも!』
「お花見……」
ふと顔を上げると、遠くの土手沿いに桜並木がある
だけど、まだそんなに咲いてない、せいぜい一分咲き

いつもの私なら、「人見知りだし、やめとこうかな」と思ってたかもしれない。
けれど。
ポーチの中にあるリップカラーが、背中を押してくれた気がした。

「……いいよ。何時にどこ?」
返信を打つ指先がさっきより軽い。
自転車を漕ぎ出すと、春の風が耳元をすり抜けていった。
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