人の意見を取り入れる素晴らしい王太子様(笑)
「アルテイシア、お前との婚約は破棄する!お前のような横暴な女を婚約者として認めることはできない!」



 ……突然よく分からない主張を貴族学校の卒業式でされたのは私の婚約者である王太子様である……


 横暴?王太子様と最近会うこともあまりなく、さらに他の貴族とあまり関わらない私にどこが横暴なんて表現になるのか不思議でならないからだ……



「……王太子様、貴族学校の卒業式という本来の重大な時にそれを承知でそのようなことを言う意味が分からないのですが……」


 一応言い返しておいた、あまりに不条理だから、こんなものが通ると思っていないが、この国が万が一バカげたことになっているのならば、一応警戒しないといけないから。

 流石にそれは無いと思うんですけどね……!




「ふん、私は皆の意見を取り入れる男で、お前がいかに横暴かを知っているのだ!」





「具体的に仰いますと?ところで貴族学校の卒業式にこのようなことをされること自体、よほど具体的な名分がない限り、いくら王太子様と言えど、多少は問題になると思いますよ……」



「黙れ!そんなことよりも私の意見のほうが大事なんだ!」



 ……まぁ王太子様ですから、貴族の慣習よりは優先されても当然ですけど、客観的には横暴なのは王太子様のほうですよね……


 私はこう思うのであった……


「いいかアルテイシア、私は皆の意見を聞いた結果、お前が他の貴族を無視して横暴だと言う。私のように広く意見を求めない愚か者は王妃に相応しくない!」



 なるほどなるほど、聞いたようなことを仰っていますね。



「何故無視が横暴なのです?それと私は別に完全に無視しているわけではなく、無駄な付き合いをしないだけです、貴族が派閥を組んで暴れるほうが、王家への反逆に繋がるのでは?」



「黙れ黙れ黙れ!皆と仲良くもできぬものは王妃になどなれない!」



 ……王太子様が一番今私に喧嘩腰じゃんって突っ込みたいですが、流石にやめておきましょう、火に油を注ぐことになるでしょうから……!



「で……それが何故横暴になるのでしょうか?」




「無視されたものがかわいそうだろう!」




「では王太子様は誰の意見でも聞くのですか?」



「その通り!広く開かれた王家を私は目指しているからだ!」



 ……あきれ果てた……ハッキリ言わないといけないだろう……!




「……王太子様、たかが公爵家の娘である私《《ごとき》》ですら様々な甘言と讒言に溢れているのです、まして王太子様ともなれば、私程度の比では無いはずです、いちいち真に受けていたらどんな賢者でもまともな判断はできないと思うのですが……」



「その横暴さが許されないのだ!王妃になるものはもっと開かれて……!」



「だから言ったでしょう、どうしてまともな意見のみが前提なのですか?今の王太子様も随分と私の悪評を吹き込まれたように見受けられますが……」



「実際にお前が悪いのだから仕方ないだろう!」



「……そうですかね、では具体的に私の何がいけないのです?みんなの意見を聞くというのであれば、どうして私の主張は聞かないのです?」




「そんなものお前が横暴だから悪いのだ!」



「……だから何が横暴だと言うのです!」



「みんなを無視したからだ!」



「だから何故それが横暴なのかと……私は甘言と讒言を避けるために、いかに他者を無視するか、こちらの方がむしろ大事だと考えているだけです!聞かないといけない意見は案外少ないのですから……金言ですからね!」



「黙れ!その振る舞いがまさに横暴そのものでは無いか!」



「では金言を述べるものと甘言讒言を言うものと同じ扱いをしたら、それこそ金言を言う方に失礼になるではありませんか?」



「そんな選択をすること自体が横暴だ!みんな平等であるべきだ!」




「……王太子様正気ですか?みんな平等とか言い出したら、我々は当然でそれどころか、王家や貴族だけでなく、平民ですら、奴隷同様になるべきが平等ですよ、国中全員奴隷になりますか?」



「ふざけるな!」



「ふざけてなどいません、では王太子様は奴隷の意見も聞いたのですか?」



「何故奴隷などの意見を聞かないといけないのだ!」



「……では皆平等では無いじゃないですか……」




「意見を聞くのは貴族だけだ!」



「……では選別しているのですね、私もだから貴族の中でも選別しているのです……」



「それが横暴だと言っているのだ!」



「……王太子様はすべての貴族が優れているとお考えで?」



「そんなことは無いだろう!」



「じゃあ全部平等はおかしいですね!」



「黙れ!王妃なるものすべての意見を聞く気持ちが大事なのだ……!」



「だったら奴隷の意見も聞いてあげたらどうですか?」



「お前は極端なんだよ!」



「そうですかね、何でも貴族の意見は聞けのほうが極端だと思いますけどね、それでは王太子様も迷うだけかと……!」




「まったくもって許せぬ!皆のもの聞け、アルテイシアが横暴だと思うものは手をあげるのだ!」



 ……ん-まずいかも、王太子様が言うことにみな逆らえずに手を上げそうだ……!


 これは私悪いことになっちゃうのかなぁ……つい道理を優先させ過ぎて失敗したか?


 こう思うと、現れたのは国王陛下その人では無いか!



「騒ぎが起きているとの知らせが合って来たぞ、お前は何をしているのだ!」



「父上!?アルテイシアが生意気なのです、貴族の意見を無視するなど王妃に相応しくありません!」




「……そんな大事だと貴族のことを思っていながらその卒業式を破壊するお前は矛盾では無いか……」



 流石陛下、道理が深いですわ……


 そして王妃様もかけつけてきた……



「王妃よ、そなたとワシの唯一の男子故に無能と分かっていても我々は王太子にしてきたが、これはまずいのではないか?」



 王妃様は青ざめている……そらそうだ……



「……もちろんお前が自分の子を後継者にしたがっているのは知っているが、次期王が間抜けでは国は終わるのだ、よって次の後継者をお前の養子とすることで耐えてくれるか?」



「……分かりました、それしか方法は無いですね、次の王太子を私の子として期待することにします!」



「な……父上母上お待ちください!私は皆の意見を聞ける賢い王太子ですよ!」



「その結果、アルテイシアに論破され、さらに貴族学校の卒業式を壊しておきながら、貴族が大事とか言う破綻をしているでは無いか!そんな奴が賢いわけがなかろう!」



 ……どうしてこういう決断力が陛下には溢れているのに、王太子様は駄目だったのだろう……



 それは私が思うに、陛下が広く意見をお聞きになるってのを馬鹿正直に真に受けて、陛下は良い意見を求める方法としてそう言っているだけで、下らない意見は全部却下されているからで、


 基本はクソな意見は無視することが前提なんですよ……!


 こういうの王の心得みたいなことに乗ってないから……



 だから私は言います、大事なのは人の話を聞くことよりも、下らない意見を無視して、残ったものだけを聞くことだと!
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

サイコパス王太子様から学ぶ人生の成功法則!?

総文字数/2,979

恋愛(キケン・ダーク)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
最後に闇落ち開眼ルート!?な作品
表紙を見る 表紙を閉じる
大谷さんを下らないことで褒める記事を見て思いついた話。 大谷さんも実はこんなことを思っていたりして!?
真デレラ?

総文字数/1,411

恋愛(キケン・ダーク)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
新訳シンデレラです(違)

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop