地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています
その言葉に、胸がわずかに高鳴る。

何かが始まる予感。

それを、はっきりと感じていた。

「はい」

「今度、咲さんの行きたい場所に、一緒に行きましょう」

私はにっこり笑った。

「はい。行きましょう」

この人とだったら、どこまでも行けるような気がした。

それから、悠生さんは自然に私の日常の中に入ってくるようになった。

特別な約束をしたわけでもないのに。

気づけば、そこにいる。

「いらっしゃいませ」

閉店間際、扉のベルが鳴る。

顔を上げると、やっぱり悠生さんが立っている。

「こんばんは」

変わらない、穏やかな声。

それだけで、一日の疲れがふっと軽くなる。

「お疲れさまです」

思わずそう言うと、彼はわずかに目を細めた。

「ありがとうございます」

短い言葉なのに、どこか優しい。
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