桜の奇跡
涙がこぼれ落ちる。

その紙を大事に抱きしめた。

私のこと……好きでいてくれたんだ。

どれだけの苦しみや痛み、恐怖と闘っていたのだろう。

そばにいて、寄り添いたかった。

「廉に嫌われたって思ってたから。

これ、もらわなかったら。

わからなかった、廉のほんとの気持ち。

ありがとう」

「うん」
渡橋君も涙目だった。






それから、昨日の公園での出来事を渡橋君に話した。

驚いた様子で、でも笑顔で



「ほんとに最期の力?みたいなので、桜の奇跡起こったのかもよ。

あれだけ辛い治療に耐えたから」

渡橋君は言った。



「そうかな。昨日の夜8時過ぎかな」
私は言った。


「あいつが亡くなったの、8時30分くらいだったから、もしかしたら。

すごいじゃん、そんな力持ってたとしたら」

目を輝かせて渡橋君は言った。


「ほんとだね」


「最期の時、微笑んだように見えたんだよ。

もしかして、未桜ちゃんといたのかも」

渡橋君は微笑んで言った。








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