ダウナーちゃんは死にたがり
* * *
「ただいま。」
⽞関に声を落とすと、キッチンから⺟の声が返る。
「おかえり、伊織。ごはん温める?」
「あとでいいかな。ありがと。」
いつも通りの、温度。
怒鳴り声も、無視もない。
特別優しくもないけれど、ちゃんと⽇常がある。
両親はきっと、伊織が死んだら、悲しんでくれるのだろう。
両親は……………2⼈は、良い⼈だから。
洗⾯所の明かり。
テレビの⾳。
味噌汁の匂い。
――今⽇も、普通だ。
何⼀つ代わり映えのない、平凡な家庭。