(完結)家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
 明莉の浮かべる表情も同じだ。

 幸せそうながら、ちょっと緊張も含んだ表情は、結婚式という場に相応しい様子で、巳影の胸に愛おしさを生んだ。

 そんな彼女と今日、本当の意味で結ばれる喜びに胸が高鳴ったくらいだ。

 片手で明莉の頬へ触れて、優しく包み込む。

 そしてスッと顔を寄せた。

 目を閉じて、リップとグロスで彩られた、特別美しいくちびるへ、自分のくちびるを合わせる。

 やわらかな感触を自分のくちびるで感じる数秒間、巳影の心臓は速くなりっぱなしだった。

 たった数秒が、永遠のように感じたくらいだ。

 やがてそっと顔を引けば、向こうも目を閉じていた明莉と、再び視線が合った。

 今度も自然と、二人の顔には笑みが浮かんだ。

 誓いのくちづけを済ませた二人に、来賓から拍手が上がる。

 二人の愛を祝福してくれる拍手は、巳影と、そして明莉の心に深く染み入った。
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