(完結)家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
「嬉しいね」

 そんな巳影の肩に、明莉がそっと手を置いた。

 小さく声をかけてくれる。

 その声は幸せそうながらも、少し震えていた。

 彼女も大きな喜びを覚えてくれたようだ。

 同じ感情を抱いてくれることに、巳影の気持ちはさらに煽られた。

 だがこれ以上泣くのは格好悪い。

 だから今度は呑み込んだ。

 指先で目元を軽く拭い、代わりに笑みを浮かべる。

 無理をした笑みだったが、笑って受け止めたいと思ったのだ。

「ああ。嬉しい」

 噛みしめるように、明莉に答えた。

 来賓の席から、拍手が上がる。

 きっと巳影の祖父母や親戚など、父の現状を知る者は巳影たちと同じように驚いただろう。

 でも巳影と明莉が嬉しく受け止めたのは、伝わったようだ。

 拍手はシンプルに『祝福』の音だった。

 見守ってくれる人は、この場にいなくても、遠い場所にいても、確かにいる。

 それはとても幸せで、なににも代えがたい、繋がりなのだ。
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