(完結)家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
「お邪魔します!」

 明莉が玄関を開けると、美花がいつも通りの明るい笑みを見せてくれた。

 今日はファー付きの白いコートを着た、かわいらしめのスタイルだ。

 肩からバッグを掛けているほか、手にベージュ色の紙袋を提げていた。

「いらっしゃい。あ、良かったら椅子、使って」

 出しておいたスリッパを勧める。

 美花の履き物がブーツなのを見て、たたきに置いた椅子も示した。

 これは今、明莉が主に使っているものだ。

 履きやすい靴を選んでいても、今は座って履いたほうが安心なので、巳影が用意してくれた。

「ありがとう! お借りするね」

 美花も、椅子の用途はすぐ察したようだ。

 嬉しそうに笑い、そっと腰掛ける。

 ブーツのファスナーを下ろして、ゆっくり脱いだ。

「今日、巳影さんはお仕事だっけ」

 美花の質問に、明莉は何気なく頷いた。

「うん、休日出勤だって。でも早めに上がれるって言ってたよ」
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