家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
 そこで別のことも思い浮かぶ。

 自分でもまだ混乱しているが、今夜にでも、同居人に話をしなければならない。

「急に会社が倒産した」なんて、格好悪すぎる事情だが、同棲している彼氏に話さないわけにもいかない。

 でも彼氏……二歳年上の、大学の先輩である沼木(ぬまき) 圭二(けいじ)のことを思い浮かべて、少し安心した。

(そう、大丈夫だよ! 退職金はあるし、退職までの猶予期間もあるから! 家賃とか生活費は少し待ってもらって……。すぐに再就職活動を始めれば……)

 同棲している仲としても、彼氏としても、頼りにしている圭二の笑顔が頭に浮かぶ。

 家賃や生活費は折半しているが、頼めば数ヵ月分くらい、待ってくれるだろう。

 優しい彼だから、明莉に寄り添うことも言ってくれるはずだ。

(大丈夫、一人じゃないもの。圭ちゃんに支えてもらえる。とにかく話を聞いてもらって、安心したい……)

 圭二について考えたために、少し落ち着けた明莉は、なんとか気を取り直して、帰宅したのだが……。

 この日の不運はこれで終わらなかったのである。
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