コンビニ王子
私は、ジーンとしている胸を押さえて、二人を見ていた。そう、こういう感じ、いいなー。ずっと昔から、父さんと二人だった頃から、ふつーの家庭が良かった。父さんがいて、母さんがいて、子供がいて…。


「ごめんなさいね。ゲームまで付き合ってもらって。用事があるなら、無理しないでね。」


「大丈夫さ、無理なんかしてないよ。僕、子供は好きなんだ。自分が子供みたいだからね。」


しばらくすると、息子にいい聞かせるようにこう言った。


「今日は遅いから、もうお終いだよ。ママの言う事を聞いて早く寝るんだよ。そしたらまた、遊んであげるからね。」


「うん、わかった。ボクおりこうにしているから、また遊んでね。約束。」


息子はそう言うと、小指を出した。そして二人は指切りげんまんをした。


「また、来ても良いかな。約束しちゃったし。」


私は、ドキドキを気付かれないようにと思いながら言う。


「こちらこそありがとう。息子の相手をしてくれて。保育園でちょっとあって、落ち込んでたの。」


「僕でよければいつでも相談に乗るから。頼りないかもだけど。」


「ありがとう。」

王子はにっこり笑って帰った。
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