カーテンコールはまだ鳴らない。
確認を終えた響華がスマホの電源を切り、ポケットに仕舞い直した、
その時だった。
「――響華さん。」
背後から、⾃分を呼ぶ声がした。
反射的に振り返ると、そこに⽴っていたのは、レジ袋を⼿にした
⿊マスクの男――蓮だった。
キョトンとした表情で、分かりやすく疑問符を浮かべる侑玖。
そんな侑玖を、蓮はものすごく鋭い⽬で睨んでいる。
――あ。
今更ながら、蓮を待たせていたことを思い出す。
「わっ、ごめん!! 今⾏く! 今⾏くから!!」
慌ててタバコを灰⽫に捨て、侑玖の⽅へ向き直る。
「休憩時間、とっくに過ぎてたわ!! じゃーね!」
そうまくし⽴てて、蓮のもとへ向かおうとした――その瞬間。
侑玖が、響華の右腕を掴んだ。