カーテンコールはまだ鳴らない。

確認を終えた響華がスマホの電源を切り、ポケットに仕舞い直した、

その時だった。

「――響華さん。」

背後から、⾃分を呼ぶ声がした。

反射的に振り返ると、そこに⽴っていたのは、レジ袋を⼿にした

⿊マスクの男――蓮だった。

キョトンとした表情で、分かりやすく疑問符を浮かべる侑玖。

そんな侑玖を、蓮はものすごく鋭い⽬で睨んでいる。

――あ。

今更ながら、蓮を待たせていたことを思い出す。

「わっ、ごめん!! 今⾏く! 今⾏くから!!」

慌ててタバコを灰⽫に捨て、侑玖の⽅へ向き直る。

「休憩時間、とっくに過ぎてたわ!! じゃーね!」

そうまくし⽴てて、蓮のもとへ向かおうとした――その瞬間。

侑玖が、響華の右腕を掴んだ。
< 14 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop