カーテンコールはまだ鳴らない。
響華は⾃分のデスクにカバンを置き、椅⼦に腰を下ろした。
ジャケットを整えながら、凝り固まった肩をぐるりと回す。
「……はぁ……」
思わず漏れた、⼆度⽬のため息。
その⾳を聞き逃さなかったのか、
隣のデスクから、すっと⿊い影が動いた。
「……おはようございます」
ひょこっと顔をのぞかせたのは、⿊マスクの男――五⽊蓮だった。
相変わらず感情の読めない表情だが、⽬だけがじっと響華を⾒ている。
「おはよ。」
「……眠そうですね」
淡々と、けれどどこか気遣うような声。