極上パイロットの一途な執愛
 私たちが働くOJAには、外部からも注目されいつも話題にのぼる機長がふたりいる。

 ひとりはアメリカの航空会社で働いていたところを、その有能さに目を付けたOJAに引き抜かれ、最年少で機長に昇格した矢崎機長。

 操縦技術の高さと、どんなアクシデントが起きても的確な判断を下す冷静さ、周りを圧倒するほどの能力とカリスマ性を持つ人だ。

 そしてもうひとりが、自社養成パイロットとして異例の速さで機長になった朝比奈蒼真さん。

 パイロットとしての技術はもちろん、人柄も外見もよく、物腰も柔らか。そのうえお父様は会社の経営者という御曹司。

 すべてが完璧で嫉妬の対象になってもおかしくないはずなのに、彼の悪い評判は一度も聞いたことがない。
 有能さを鼻にかけず、いつも穏やかで、誰にでも分け隔てなく優しい蒼真さんは、社内どころか他社のスタッフ、空港職員、お客様からも、絶大な人気を集める王子様のような人だ。

 そんな蒼真さんと私が、たった一年間とはいえ夫婦だったことが周囲にばれたら、とんでもないことになっただろうな。

 想像するだけで背筋がひやりと冷たくなる。
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