極上パイロットの一途な執愛
「いえ、そんなことは」

 たしかに父は元パイロットで今はOJAの専務として働いているけど、私はお嬢様ではないし、落ち着いているわけでもない。ただ口下手で人づきあいが苦手なだけで……。

 そう言おうとしたけれど、おしゃべりなふたりはどんどん会話を進めてしまう。

「それにしても、コントロールセンターで働いていたら、パイロットと直接会うことってほとんどないですよね~」

 中井さんの言葉に、成海さんがうなずく。

「フライトプランが電子化されてから、運航管理者とパイロットが顔を合わせてブリーフィングをする必要はなくなったからね」

 十数年前までは、出発前に運航管理者が作ったフライトプランを紙で用意し、機長や副機長と対面でブリーフィングをしたあとに署名するという流れだったそうだ。

 今では百パーセント電子化され、フライトプランに問題がなければそのまま承認される。変更希望や問い合わせなど、必要がある場合のみパイロットから電話がかかってくるかたちになっていた。

 その電話もあくまで業務的なやりとりをするだけで、個人的な会話をすることはほとんどない。

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