極上パイロットの一途な執愛
 その日の仕事を終えた私は、にぎわう到着ロビーのベンチに座りぼんやりとしていた。

 一日働いた疲れがどっと押し寄せる。

 仕事中はずっと立ち続け、ときには走り回っていたから、肉体的にはもちろんだけど、つねに笑顔でいなきゃいけないのが一番大変だった……。

 先輩から何度も表情の硬さを注意され、必死に笑顔を作っていたから、顔が筋肉痛になりそうだ。

「それに……」

 帰り際、先輩たちが交わしていた会話を思い出し、気持ちが沈む。

『――朝比奈副機長に声をかけられていい気になってた新人って、香坂専務の娘さんらしいわよ』

 更衣室で着替えていると、そんな言葉が耳に入ってきた。
 ロッカーの向こうで先輩たちが私の話をしているんだと気付き、息をのむ。

『香坂専務って、何年か前に胴体着陸をした元機長の?』
『そうそう。伝説のキャプテン』
『ってことは、コネ入社なんだ』
『どうりで、愛想がないと思った』

 私は私なりに、必死に努力を重ねてこの会社に就職したのに……。
 だけど、父がOJAの役員なのは事実で、そのことが採用に有利に働いた可能性がないとはいえない。

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