極上パイロットの一途な執愛
 うまく誤魔化せたのか、成海さんはそれ以上問い詰めることはなく、伸びをしながら時計を見る。

「もうすぐ交代だね」
「そうですね。今日も大きなトラブルなく引き継げそうでよかったです」

 話題が変わったことにほっとしていると、「このあとの予定は?」と聞かれた。

「予定って、誰のですか?」
「香坂さんのに決まってるじゃん」

 くすくす笑う彼に、「特に予定はないですが」と答える。

「よかった。じゃあ帰る前に一緒にお茶でも飲まない?」
「お茶、ですか」
「空港の中に新しいカフェができたの知ってる? 限定のスイーツがおいしいらしいって評判を聞いたんだよね」

 たしかに、国内線のターミナルビルにおしゃれなカフェがオープンしたと聞いた記憶がある。

「限定のスイーツが食べたいんですか?」
「そう。できれば香坂さんと一緒に」

 もしかしたら、成海さんは男性ひとりでおしゃれなカフェに行くのが気まずくて、私に声をかけたのかな。

「私でよければご一緒します」

 彼の気持ちを察してうなずくと、成海さんは「やった」とうれしそうに言った。
  

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