愛を知らない私には

第二章 私の当たり前

「わ、私料理は得意なので……作ります!」

私の数少ない特技の料理。

特技というか、施設で暮らすために頑張りまくっただけなんだけど……

幸川家の役に立てるならなんだって作る!

「あら、いいの?じゃあお願いしようかしら。」

奥さんがエプロンを貸してくれる。

エプロンをして、あっ手を洗わなきゃ……

そう思って私は腕をまくった。すると、

「「「「「っ……!!!!!」」」」」

一瞬でリビングが凍りついた。

皆さんどうした……あっ!この腕か……

私の腕には昔虐待されていた頃についた火傷の跡や痣の跡が残っている。

私は物心ついた頃からこの腕だから私にとっては当たり前だけどみんなにとっては当たり前じゃないってこの前言われたな……

あわてて袖を戻そうとしたら腕を捕まれた。

同時にトラウマがフラッシュバックしてしまう。

「ひっ……!!!や、やめっ……」

「おい、これ誰がやったんだよ。」

私の声を遮るように放たれた地をはうような低い声。これは悠斗さんが出したものだった。

「やめなよ、悠斗。杏ちゃん怖がってるよ。」

そう言って悠斗さんの手を離してくれる優斗さん。

こ、怖かった……殴られるのかと……

「でも、僕も誰がやったのかは気になるな。誰にやられたの?杏ちゃん。」

え、そんなの……

「お母さんとお父さんに決まってるじゃないですか。私虐待されてたって聞いてなかったんですか?」

話してないですか?と幸川夫婦に聞くと、

「ごめんね杏ちゃん。まだ話せてなかったんだ。」

「優斗、悠斗、蓮斗、杏ちゃんは幼い頃に虐待されていて……それで杏ちゃんは施設暮らしだったんだよ。杏ちゃんの両親と僕らは昔、友人でね。今はもちろん連絡なんてとってないけど杏ちゃんを迎え入れたいって思ってたから蓮斗も高校生になる今年、迎え入れようってことになったんだ。」

「僕たちはお前たちを信用したってことだから。仲良くやってね。」

ふっと微笑んで私たちを見つめた主人さんの瞳は澄んでいるものの怒りに似たようなものがこもっていた。

「わ、私ご飯作りますね!何がいいですか?」
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