愛を知らない私には

第4話 初めての私物

「杏ちゃん、似合うね。」

「おい、お前これも着ろよ!」

「うーん下僕として及第点はあるかな……」

私は今三兄弟の着せ替え人形になっていました……!

​

時は数時間前。

「あ、おはようございます!朝食、もう少しですのでお待ちください!」

朝7時私は朝ごはんを作っていた。

「杏ちゃん、眠れた?」

優斗さんがそう聞いてくれた。

(そんなの……)

「眠れたに決まってるじゃないですか!」

私がそう元気よく言うと優斗さんの頬が緩んだ。

「私いっつも固い布団が敷かれただけの二段ベットかフローリングで寝てたのでもうふかで!マットレスってあんなにふかふかなんですね……驚きました……!」

そう言うと優斗さんは一瞬顔を歪めたけどすぐにもとに戻り

「よかった、これからはずっとこの布団だよ。」

「ありがとうございます!」

(ホントにふかふかでよく眠れたからすごいスッキリ……)

そんなことをのんきに思っていると……

「え?待って、お前服昨日と同じじゃね?」

起きてきた悠斗さんがそう言った。

「ほんとだ、下僕、同じ服持ってるのか?」

不思議そうにそう聞くリビングでうとうとしていた蓮斗くん。

(え?服なんて一緒で当たり前じゃ……)

「服なんて寝るよう、外出のようの二着、一週間に一回洗濯したら大丈夫ですよ。」

私は当然でしょう?と付け足す。

すると三兄弟はまたもやこの世ならざるものを見たような目で私を見る。

「え?まじで?……俺らがおかしいのか優斗兄」

「同感だよ……でもさすがに一週間に一回はちょっとね……」

「下僕、不清潔。」

悠斗さん、優斗さん、蓮斗くんは私を見てぼそぼそと何か言っている。

すると悠斗さんが私の肩をつかんだ。

(ひっ……殴られ……)

「や、やめっ……」

「悠斗、そのつかむくせやめなって。杏ちゃん怖がってるよ。」

優斗さんの言葉に手を離してくれる悠斗さん。

(こ、怖かった……)

すると悠斗さんが口を開く。

「今日は杏の服を選びにショッピングセンターに行くぞ!!!」

(ショッピングセンターってあの大きな建物のことだよね……)

「いやいや、あんな立派なところに私なんかが……」

(バチが当たってしまいます……)

「行くったら行くんだ!そうと決まれば早く食え!準備しろ!」

「は、はい……」

​

そして現在に至る。

「ねえ、これとこれとこれ。似合うよね。

……これにしよっか。」

「俺も異論ねぇ!それにしようぜ!」

「下僕として及第点だもんね。」

私抜きで決めたらしい三兄弟が服をレジへ持っていく。

(って!だめですよ……!)

「みなさん!私、この服で事足りてますし、そんな高価なものだめですよ……!」

精一杯の主張をする。

同時にはぁ……とため息をつく三兄弟。

「杏ちゃん、普通の家の……幸川家の子供ならこれぐらいの服を着るのが普通だよ。」

「そうだ。黙って着とけ!」 

「下僕がそんなボロ着てたら主人として失格だからね。」

そう言ってくれる三兄弟さんたち。

(普通……か。なら必要なのかな……)

「じゃあお願いしていいですか?」

「「「おうっ!(うん)任せとけ(てよ)!」」」

そう声を揃えて会計をしてくれる三兄弟さんたち。

「はい。これからこれは杏ちゃん、君のものだよ。」

(君……私の、もの……)

「私、私物って初めてです……!ありがとうございます!」

フワッと笑顔でそう言うとまた三兄弟さんたちの顔が赤くなる。

「笑顔、天使みたい……」

「やっぱり、か……可愛い……」

「っ……!だから下僕!下僕なの!」

おどおどしてる三兄弟さんたちが不思議で

「どうかしましたか?」

そう聞くと、

「「「どうもしてない!!!」」」

圧がすごい……!!!

「……さあ、次のコーナーにいこうか……」

そう言った優斗さんにまた付いていった。

かってもらった水色のワンピースやふわふわのチェックスカート、白のブラウス、モコモコのパジャマが入った袋を抱きしめながら。
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