友達の彼女が浮気してました
[嫉束 界魔]
「おっ、やっほー! 君達も今帰り?」
笹妬と歩いてた嫉束が、昇降口で狂沢と巣桜の姿を見つける。
[巣桜 司]
「こんにちは……」
[狂沢 蛯斗]
「そうですよ」
[笹妬 吉鬼]
「……」
笹妬は会話には入らず、我先にと靴を履き替える。
[嫉束 界魔]
「あ、ちょっと吉鬼〜! 歩くの早いって〜」
先に帰ろうとした笹妬を、嫉束が呼び止める。
[笹妬 吉鬼]
「なんだよ」
[刹那 五木]
「あー! みんなー!!」
4人の背後から、もうひとり人が駆け寄って来る。
[刹那 五木]
「ねぇねぇ! みんな今日、暇?」
[嫉束 界魔]
「暇!! 吉鬼も暇だよね!?」
[笹妬 吉鬼]
「何故、決め付ける?」
笹妬は暇だと決め付けられ、不服そうな顔をする。
[狂沢 蛯斗]
「今度は、どこへ行こうと言うのですか?」
[刹那 五木]
「うーんと、巣桜くんは……運動とか苦手なんだよね?」
横に居る巣桜に、刹那が問い掛ける。
[巣桜 司]
「え? あー、はい、まあそーですけど」
[刹那 五木]
「じゃあさ! カラオケ行こうよ!」
[巣桜 司]
「カラオケ……」
[笹妬 吉鬼]
「カラオケか……」
笹妬と巣桜は、この提案にあまり乗り気ではなかった。
[刹那 五木]
「そそ! 西駅前の所のやつ!」
[巣桜 司]
「あ〜、あそこなら漫画もありますしね……」
[笹妬 吉鬼]
「ほう、そうなのか」
笹妬と巣桜の表情が、少し明るくなる。
[嫉束 界魔]
「わぁ……僕、友達とカラオケなんて初めてだよ〜!」
[狂沢 蛯斗]
「はぁ、仕方がありませんね。 ここで行かないと言ったら、ボクが空気読めない奴みたいじゃないですか」
[嫉束 界魔]
「え〜! エビくんが空気読めないのは、いつものことじゃない?」
[狂沢 蛯斗]
「……なんですって?」
嫉束の失礼な発言に、狂沢は腹を立てて嫉束を睨む。
[巣桜 司]
「ひいっ……」
眉のつり上がった狂沢の顔を見て、巣桜は恐れて縮こまる。
[笹妬 吉鬼]
「なんで巣桜くんがビビるの」
[嫉束 界魔]
「て言うか、早く行こうよ!!」
対して嫉束は、不機嫌な狂沢にも、怯える巣桜にもお構い無しな様子だった。
[笹妬 吉鬼]
「界魔はなんにも効いてないし……」
[刹那 五木]
「あははっ、そうだね早く行こう!」
5人は、喧嘩しながらカラオケ店へと向かった。
[嫉束 界魔]
「楽しい〜! こんなに楽しいなら、卯月くんも誘えば良かったね!」
時が経ち、カラオケ大会も終盤だった。
[笹妬 吉鬼]
「やめとけって。 こう言う人多いのとか、苦手そうじゃん」
[巣桜 司]
「疲れちゃいますもんね」
[狂沢 蛯斗]
「あの人なんか、居ても居なくても変わりませんけどね」
[刹那 五木]
「えー! オレ、ああ言う澄ましてる子を振り回すの好き〜!」
そして始まる、卯月への陰口。
[巣桜 司]
「ドS過ぎません……?」
[笹妬 吉鬼]
「おいおいっ」
狂沢「悪趣味ですね」
これには3人も刹那の発言にドン引きだった。
[嫉束 界魔]
「え! 僕、そう言うつもりで言ったんじゃないのに〜っ」
[刹那 五木]
「あははっ! なーんて、ウソウソ! 今度みんなで遊ぶ時は、卯月くんも誘おっか!」
[嫉束 界魔]
「うんっ! あ、あと、文島くん達も……」
嫉束がそう言い掛けた時 ──。
[巣桜 司]
「ヴッヴン……刹那くん、そろそろ良い時間なのですが……」
刹那は、部屋にある時計の時間を見る。
[刹那 五木]
「ん。 ああ、そうだね! お腹も空いたし、そろそろ出よっか」
[嫉束 蛯斗]
「えぇっ!? もうそんな時間ー?」
手際良く、周囲の片付けと、手荷物の準備をしていく嫉束以外の4人。
[狂沢 蛯斗]
「食べ放題は無しですよ……」
[嫉束 界魔]
「あ、ちょ、みんな早いよ〜」
[笹妬 吉鬼]
「早くしろ〜」
そうして5人は、カラオケ店を後にした。
[刹那 五木]
「んーと。 みんな、何食べたい?」
前衛の刹那が、自分の後ろを歩く者達に問い掛ける。
[狂沢 蛯斗]
「食べ放題以外で」
どうしても食べ放題は嫌な、狂沢。
[刹那 五木]
「それは分かったから」
[巣桜 蛯斗]
「デ、デザートが美味しいところが良いかも」
巣桜が申し訳無さそうに話し出す。
[嫉束 界魔]
「あ! それなら僕、デザートもご飯も美味しいお店、知ってるよ♪」
[巣桜 司]
「本当ですか?」
[狂沢 蛯斗]
「まともな店なんでしょうね?」
[笹妬 吉鬼]
「俺はなんでも良いぞ」
[刹那 五木]
「分かった! じゃあ早速、嫉束くん案内してよ!」
[嫉束 界魔]
「うん、みんな僕に着いて来て♪」
[狂沢 蛯斗]
「嫉束くんに着いて行くのは、少々不安なのですが……」
嫉束を先頭に、5人は飲食が出来る場所へと移動する。
[刹那 五木]
「ん……?」
[嫉束 界魔]
「どうしたの?」
嫉束は刹那の異変に気付き、声を掛ける。
[刹那 五木]
「……」
[狂沢 蛯斗]
「なんですか? 早く行きましょうよ」
前進が滞り、苛立つ様子の狂沢。
[笹妬 吉鬼]
「あれは……大空?」
視力の良い笹妬が、遠くの個人を特定する。
[朝蔵 大空]
「……」
[巣桜 司]
「ほんとだ、大空さんです」
[嫉束 界魔]
「大空ちゃん!? 大空ちゃー……」
嫉束が最初に、遠くで立っている大空に大声で、呼び掛けようとする。
[刹那 五木]
「待って」
刹那が嫉束の口を覆い、大声を出す直前で黙らせる。
[嫉束 界魔]
「え?」
声を出せなくなった嫉束は、きょとんとする。
[狂沢 蛯斗]
「男の人といる……?」
[巣桜 司]
「え、誰?」
[笹妬 吉鬼]
「知らないな」
[嫉束 界魔]
「え! 誰なのあの男!?」
不測の事態に、刹那以外の4人は取り乱す。
[刹那 五木]
「みんな一旦隠れよ」
冷静さを保っていた刹那が、4人を建物の陰へと隠れさせる。
[見知らぬ男]
「ありがとね」
[朝蔵 大空]
「はい、それじゃ……」
笑顔の男、そして満更でもなさそうな大空の姿がそこにあった。
[嫉束 界魔]
「ももも、もしかして、密会?!」
[狂沢 蛯斗]
「これは絶対、浮気ですね」
[巣桜 司]
「へぇ、卯月くんがいるのに」
[笹妬 吉鬼]
「まだ分からないだろ……」
[刹那 五木]
「うーん」
大騒ぎする4人を他所に、刹那は静かに考えを巡らせる。
[嫉束 界魔]
「ふーん! これは、卯月くんに報告だね!」
[刹那 五木]
「会議しよう。 1年生組と、先輩達集めて……ね」
── 緊急会議中。
[不尾丸 論]
「はぁ、彼氏ひとりじゃ足りないのかな? あの人……」
[仁ノ岡 塁]
「浮気は良くない、浮気は良くない」
暴走寸前の、不尾丸と仁ノ岡。
[原地 洋助]
「その話、本当ですか?」
疑り深い原地は、確かめるように刹那と顔を見合わせる。
[刹那 五木]
「まあ、すぐ見失っちゃったんだけど。 一緒にコンビニから出て来て、話してる所を見たんだよね〜」
[花澤 岬]
「チッ」
刹那達の話を聞いた花澤は、大きな舌打ちをする。
[土屋 遊戯]
「きゃー、花澤くん怖〜い♡ すぐ怒っちゃって余裕無〜い♡」
それを土屋が即座に茶化す。
[花澤 岬]
「はぁ……黙りなさい」
[古道 大悟]
「よく分かんないけど、あの子もガード緩いとこあるしねぇ〜」
そうやってヘラヘラと笑い、場を和ませようとする古道。
[花澤 岬]
「まったくだ。 男とふたりきりになる必要なんて、どこにある?」
[音乃 渚]
「まぁ〜まぁ〜花澤くん……」
[花澤 岬]
「黙れ」
[不尾丸 論]
「いけない先輩……ふふ、これはお仕置きが必要かな」
カラカラ……と車椅子を漕いで部屋から出て行こうとする不尾丸。
[原地 洋助]
「ちょっとー、どこ行くつもり?」
それに気付いた原地が、不尾丸を止める。
[仁ノ岡 塁]
「その男はどこだ!? あの世へ送ってやる!」
一番良くない方向に盛り上がる仁ノ岡。
[原地 洋助]
「さすがに気が早い。 お前らふたりとも、ちょっと落ち着け」
[嫉束 界魔]
「てか、大空ちゃんに直接聞けば良いんじゃない?」
嫉束は周囲にそう提案する。
[刹那 五木]
「あー、やっぱそうなる?」
刹那も、嫉束と同じことを考えていたようだ。
[狂沢 蛯斗]
「大空さんの居場所は?」
狂沢がそう言うと、巣桜がスマホを操作して画面を注視する。
[巣桜 司]
「……自宅にいらっしゃるようです」
[古道 大悟]
「まさか、GPS……?」
[笹妬 吉鬼]
「さすがっす」
ツッコむのを放棄して、笹妬は感心したフリをする。
[嫉束 界魔]
「行こう!」
嫉束は大空の家に行く気マンマンである。
[花澤 岬]
「家に全員で行くのは迷惑だろ」
常識的考え方を取り戻した花澤が、嫉束を止める。
[古道 大悟]
「ま、明日学校で聞いてみようよ」
[土屋 遊戯]
「賛成〜♡」
[音乃 渚]
「では、昼休みに改めて」
[刹那 五木]
「そうですね! 解散!!」
議論は終了し、次々と男子達は散らばって行く。
卯月「一体何をする気なんだ? あの人達……」
── 翌日、学校にて。
[朝蔵 大空]
「きゃっ……な、なんですか?」
複数の男子に、壁へと追い込まれてしまう大空。
[嫉束 界魔]
「大空ちゃん、昨日の男の人は誰!!」
困惑する大空に、嫉束は容赦無く問い詰めていく。
[朝蔵 大空]
「えっ……」
[不尾丸 論]
「他の男なんて構ってる暇、あるんだ? オレには全然構ってくれないくせに……」
[朝蔵 大空]
「えっ」
[花澤 岬]
「お前は気が多過ぎるな、少しは節操を覚えたらどうなんだ?」
[朝蔵 大空]
「えっ、えっ」
一方的に責められ、大空は何も言い返すことが出来ないでいる。
[嫉束 界魔]
「浮気だよね? そうだよね!」
ついにはダイレクトに、『浮気』と言うワードを出していく嫉束。
[朝蔵 大空]
「い、いつのこと? 誰のことだか……」
大空はなんとか隙を見つけて、細々と話し出す。
[花澤 岬]
「とぼけても無駄、目撃者も何人かいる」
[不尾丸 論]
「誰のことか分かんないって……浮気相手はひとりじゃないの?」
不尾丸の、火に油を注ぐような発言。
[嫉束 界魔]
「え!? 昨日の人の他にもいるってこと!? 大空ちゃん!!! 君には卯月くんがいるんだよ?!」
嫉束の、真剣な面持ち。
[花澤 岬]
「は? お前……一体、何人と浮気してるんだ!!」
[不尾丸 論]
「先輩、本当に悪い子だね」
嫉束、不尾丸、花澤の怒りは頂点だった。
[笹妬 吉鬼]
「その辺にしとけよー」
[古道 大悟]
「そうだよ、まずは彼女の話も聞いてあげて〜」
フォロー上手な古道が、ニコニコと大空の応援をする。
[原地 洋助]
「大空先輩、昨日コンビニで誰かと会ってたんですか?」
原地が話を進めようと、気の利いた言葉を大空に投げ掛ける。
[朝蔵 大空]
「え……なんで、それ知って……」
[刹那 五木]
「あ〜、これは偶然なんだけど。 お前が知らない男の人と喋ってるのを、おれらが見ちゃったんだよねぇ」
[朝蔵 大空]
「見てたの……」
自分の知らない間に色々見られたことを知り、大空は青ざめる。
[狂沢 蛯斗]
「そろそろ答えて下さいね」
[巣桜 司]
「大空さん、正直に話して下さい」
待ちきれない狂沢と巣桜が、大空に催促する。
[朝蔵 大空]
「は、はい……えっと、コンビニにはアイスを買うつもりで寄ったんですけど」
[土屋 遊戯]
「ダーリン可愛い♡ でもでも。 アイスぐらい、ぼくがもっと美味しいの作ってあげるのにー♪」
[音乃 渚]
「アイス! ワタシも食べたいです♪」
土屋と音乃は、《《アイス》》の話をしたそうだ……。
[古道 大悟]
「はいはい、それで?」
古道が脱線を食い止め、話を戻す。
[朝蔵 大空]
「えっと……コピー機の使い方が分からないから、教えてほしいって声掛けられたんです」
[巣桜 司]
「あっ……」
[原地 洋助]
「はぁ……」
ここで巣桜と原地の肩の力が、一気に抜ける。
[朝蔵 大空]
「ほ、ほんとにそれだけなんです……!」
大空は、これ以上何を話せば良いのか分からない。
[仁ノ岡 塁]
「メリィ! 怖かったな、そんな奴に絡まれて……守ってやれなくて、すまない!!」
仁ノ岡は大空を憐れみ、慈しむように大空を抱き締める。
[朝蔵 大空]
「え??」
[笹妬 吉鬼]
「ん、つまりただの人助け」
[朝蔵 大空]
「そ、そう!」
不利な状況が抜け出したい大空は、必死に笹妬に同調する。
[嫉束 界魔]
「なーんだそうだったのか〜! 僕達、早とちりしてたよ〜」
[原地 洋助]
「そんなことだろうと思いました」
[不尾丸 論]
「へぇ、そうやって誰でも助けるんだね」
大空の疑いが晴れ、良い方向に向かっていたのを、不尾丸が再びネガティブな空気に戻そうとする。
[原地 洋助]
「論、しつこい」
[仁ノ岡 塁]
「許せない! 我らのメリィに!!」
不尾丸の悪い空気作りに、まんまと乗っかる仁ノ岡。
[土屋 遊戯]
「きゃはっ☆ 下心0ではなさそうだよね〜」
面白がって、また別の方向に火を付けようとする土屋。
[花澤 岬]
「人助けは良いことだが。 助ける相手を見極めないと、危ない目に遭うぞ。 次から気を付けるように」
花澤は、大空を理不尽気味に厳しく叱る。
[朝蔵 大空]
「なんで私、良いことしたのに怒られてるの……?」
[花澤 岬]
「そんなの、お前を守りたいからに決まってるだろ!!」
反省しようとしない大空に、花澤は更に怒鳴りつける。
[古道 大悟]
「ひゅ〜♪ 岬、イケメン〜♪」
[土屋 遊戯]
「花澤くんの保護者気取り、きっつ〜♡」
[音乃 渚]
「花澤くん、カッコ良いよ!」
[花澤 岬]
「っ……/// こ、これは……お前ら! いちいち茶化すな!!」
そう言う花澤の顔は、真っ赤だった。
[土屋 遊戯]
「きゃっ〜♡ キレた〜♡」
[朝蔵 大空]
「意味が分からない。 わ、私はなんか間違ったことをしたの……?」
[笹妬 吉鬼]
「いや、間違ってるのはこいつらだから」
[刹那 五木]
「あははっ、とにかくなんも無くて良かった! ごめんな、大空」
[狂沢 蛯斗]
「ふん、紛らわしい」
[巣桜 司]
「すみません、大空さん……」
[嫉束 界魔]
「僕も、いきなり疑っちゃってごめんね……?」
次々と、謝罪の言葉を漏らしていく同級生達。
[朝蔵 大空]
「う、うん……」
だけど謝られても、大空の心情は微妙だった。
[不尾丸 論]
「先輩可愛いし、お人好し過ぎるから。 学校の時以外は、外出禁止にしたほうが良いと思うけど」
[朝蔵 大空]
「な、なんで?」
[仁ノ岡 塁]
「卯月……彼奴は何をやっているのだ? いくらなんでも、メリィを自由にさせ過ぎだ!」
[巣桜 司]
「檻に入れとけば安心……」
サラッと、恐ろしいことを言う巣桜。
[刹那 五木]
「ちょっとちょっと巣桜くん! またダークモード入ってるよ!」
[巣桜 司]
「あっ、すみません……」
我に返って、巣桜はすぐに謝る。
[嫉束 界魔]
「ちょっと誰か卯月くん呼んで!!」
[笹妬 吉鬼]
「あいつの連絡先持ってない……」
[嫉束 界魔]
「じゃあ大空ちゃん呼んで!!」
嫉束が大空に、ケータイで卯月を呼び出すように促す。
[朝蔵 大空]
「は、はい?」
[嫉束 界魔]
「早く!!」
[卯月 神]
「あ、います、います」
ドア前で話を聞いていた卯月が、姿を現す。
[朝蔵 大空]
「!?」
突然の彼氏の登場に、大空は声が出ない。
[狂沢 蛯斗]
「なんだ、居たんですか」
[原地 洋助]
「居るなら言って下さいよ」
狂沢と原地が、卯月に不満をぶつける。
[古道 大悟]
「わっ、いつから居たの?」
[卯月 神]
「最初からですよ」
卯月は淡々と、当然かのように喋る。
[土屋 遊戯]
「怖っ! ストーカーじゃん!?」
[卯月 神]
「貴方達に言われたくないです」
[不尾丸 論]
「卯月先輩、もっと朝蔵先輩を縛り付けて?? 自由を与えないで??」
[卯月 神]
「はい?」
不尾丸の横暴な要望に、卯月は聞き返してしまう。
[仁ノ岡 塁]
「卯月! 貴様、愛するメリィをほっといて何をしているのだ!? メリィが寂しがって浮気をしたら、貴様が悪いのだぞ!?」
[原地 洋助]
「まあボクも、その部分には同感かな。 いつもちゃんと構ってあげてるの??」
[卯月 神]
「あげてます、あげてます」
そう返答する卯月は、心底面倒臭そうである。
[朝蔵 大空]
「ムッ……卯月くん、あんまり構ってくれない」
ここで大空が、卯月に対する欲求不満を吐露する。
[卯月 神]
「なっ……」
[不尾丸 論]
「やっぱり。 それじゃあ浮気されても、文句言えないね」
[仁ノ岡 塁]
「卯月ー!! 貴様ー!!」
[原地 洋助]
「あんたがあんま構ってあげないから。 大空先輩、本当に浮気しちゃうかもよ? それでも良いの?」
これまた卯月を集中的に責める下級生達。
[卯月 神]
「良いわけないですよ」
卯月はピシャッと否定する。
[朝蔵 大空]
「卯月くん!!」
卯月に構って欲しい大空は、大声で卯月を呼ぶ。
[卯月 神]
「それに、大空さんには、大空さんの自由と権利が……」
卯月はそれを無視して、不尾丸達に反論する。
[音乃 渚]
「自由? 要りますか、そんなもの?」
[土屋 遊戯]
「んふっ♡ ぼくなら食べるものにも、着るものにも困らせないのに〜」
[花澤 岬]
「自由過ぎると怪我をするんだよ。 ルールがあるから、安全でいられる」
[古道 大悟]
「構ってほしくて気を引こうとしちゃう……その気持ちは分かるかも……」
各々で危ない思想を暴露していく、上級生達。
[卯月 神]
「うわ〜、この人達末期だ」
[刹那 五木]
「あははっ、本当に面白いなぁ〜」
[笹妬 吉鬼]
「面白いか?」
[朝蔵 大空]
「あの、私もう帰って良いですか?」
……今日も平和です。
「おっ、やっほー! 君達も今帰り?」
笹妬と歩いてた嫉束が、昇降口で狂沢と巣桜の姿を見つける。
[巣桜 司]
「こんにちは……」
[狂沢 蛯斗]
「そうですよ」
[笹妬 吉鬼]
「……」
笹妬は会話には入らず、我先にと靴を履き替える。
[嫉束 界魔]
「あ、ちょっと吉鬼〜! 歩くの早いって〜」
先に帰ろうとした笹妬を、嫉束が呼び止める。
[笹妬 吉鬼]
「なんだよ」
[刹那 五木]
「あー! みんなー!!」
4人の背後から、もうひとり人が駆け寄って来る。
[刹那 五木]
「ねぇねぇ! みんな今日、暇?」
[嫉束 界魔]
「暇!! 吉鬼も暇だよね!?」
[笹妬 吉鬼]
「何故、決め付ける?」
笹妬は暇だと決め付けられ、不服そうな顔をする。
[狂沢 蛯斗]
「今度は、どこへ行こうと言うのですか?」
[刹那 五木]
「うーんと、巣桜くんは……運動とか苦手なんだよね?」
横に居る巣桜に、刹那が問い掛ける。
[巣桜 司]
「え? あー、はい、まあそーですけど」
[刹那 五木]
「じゃあさ! カラオケ行こうよ!」
[巣桜 司]
「カラオケ……」
[笹妬 吉鬼]
「カラオケか……」
笹妬と巣桜は、この提案にあまり乗り気ではなかった。
[刹那 五木]
「そそ! 西駅前の所のやつ!」
[巣桜 司]
「あ〜、あそこなら漫画もありますしね……」
[笹妬 吉鬼]
「ほう、そうなのか」
笹妬と巣桜の表情が、少し明るくなる。
[嫉束 界魔]
「わぁ……僕、友達とカラオケなんて初めてだよ〜!」
[狂沢 蛯斗]
「はぁ、仕方がありませんね。 ここで行かないと言ったら、ボクが空気読めない奴みたいじゃないですか」
[嫉束 界魔]
「え〜! エビくんが空気読めないのは、いつものことじゃない?」
[狂沢 蛯斗]
「……なんですって?」
嫉束の失礼な発言に、狂沢は腹を立てて嫉束を睨む。
[巣桜 司]
「ひいっ……」
眉のつり上がった狂沢の顔を見て、巣桜は恐れて縮こまる。
[笹妬 吉鬼]
「なんで巣桜くんがビビるの」
[嫉束 界魔]
「て言うか、早く行こうよ!!」
対して嫉束は、不機嫌な狂沢にも、怯える巣桜にもお構い無しな様子だった。
[笹妬 吉鬼]
「界魔はなんにも効いてないし……」
[刹那 五木]
「あははっ、そうだね早く行こう!」
5人は、喧嘩しながらカラオケ店へと向かった。
[嫉束 界魔]
「楽しい〜! こんなに楽しいなら、卯月くんも誘えば良かったね!」
時が経ち、カラオケ大会も終盤だった。
[笹妬 吉鬼]
「やめとけって。 こう言う人多いのとか、苦手そうじゃん」
[巣桜 司]
「疲れちゃいますもんね」
[狂沢 蛯斗]
「あの人なんか、居ても居なくても変わりませんけどね」
[刹那 五木]
「えー! オレ、ああ言う澄ましてる子を振り回すの好き〜!」
そして始まる、卯月への陰口。
[巣桜 司]
「ドS過ぎません……?」
[笹妬 吉鬼]
「おいおいっ」
狂沢「悪趣味ですね」
これには3人も刹那の発言にドン引きだった。
[嫉束 界魔]
「え! 僕、そう言うつもりで言ったんじゃないのに〜っ」
[刹那 五木]
「あははっ! なーんて、ウソウソ! 今度みんなで遊ぶ時は、卯月くんも誘おっか!」
[嫉束 界魔]
「うんっ! あ、あと、文島くん達も……」
嫉束がそう言い掛けた時 ──。
[巣桜 司]
「ヴッヴン……刹那くん、そろそろ良い時間なのですが……」
刹那は、部屋にある時計の時間を見る。
[刹那 五木]
「ん。 ああ、そうだね! お腹も空いたし、そろそろ出よっか」
[嫉束 蛯斗]
「えぇっ!? もうそんな時間ー?」
手際良く、周囲の片付けと、手荷物の準備をしていく嫉束以外の4人。
[狂沢 蛯斗]
「食べ放題は無しですよ……」
[嫉束 界魔]
「あ、ちょ、みんな早いよ〜」
[笹妬 吉鬼]
「早くしろ〜」
そうして5人は、カラオケ店を後にした。
[刹那 五木]
「んーと。 みんな、何食べたい?」
前衛の刹那が、自分の後ろを歩く者達に問い掛ける。
[狂沢 蛯斗]
「食べ放題以外で」
どうしても食べ放題は嫌な、狂沢。
[刹那 五木]
「それは分かったから」
[巣桜 蛯斗]
「デ、デザートが美味しいところが良いかも」
巣桜が申し訳無さそうに話し出す。
[嫉束 界魔]
「あ! それなら僕、デザートもご飯も美味しいお店、知ってるよ♪」
[巣桜 司]
「本当ですか?」
[狂沢 蛯斗]
「まともな店なんでしょうね?」
[笹妬 吉鬼]
「俺はなんでも良いぞ」
[刹那 五木]
「分かった! じゃあ早速、嫉束くん案内してよ!」
[嫉束 界魔]
「うん、みんな僕に着いて来て♪」
[狂沢 蛯斗]
「嫉束くんに着いて行くのは、少々不安なのですが……」
嫉束を先頭に、5人は飲食が出来る場所へと移動する。
[刹那 五木]
「ん……?」
[嫉束 界魔]
「どうしたの?」
嫉束は刹那の異変に気付き、声を掛ける。
[刹那 五木]
「……」
[狂沢 蛯斗]
「なんですか? 早く行きましょうよ」
前進が滞り、苛立つ様子の狂沢。
[笹妬 吉鬼]
「あれは……大空?」
視力の良い笹妬が、遠くの個人を特定する。
[朝蔵 大空]
「……」
[巣桜 司]
「ほんとだ、大空さんです」
[嫉束 界魔]
「大空ちゃん!? 大空ちゃー……」
嫉束が最初に、遠くで立っている大空に大声で、呼び掛けようとする。
[刹那 五木]
「待って」
刹那が嫉束の口を覆い、大声を出す直前で黙らせる。
[嫉束 界魔]
「え?」
声を出せなくなった嫉束は、きょとんとする。
[狂沢 蛯斗]
「男の人といる……?」
[巣桜 司]
「え、誰?」
[笹妬 吉鬼]
「知らないな」
[嫉束 界魔]
「え! 誰なのあの男!?」
不測の事態に、刹那以外の4人は取り乱す。
[刹那 五木]
「みんな一旦隠れよ」
冷静さを保っていた刹那が、4人を建物の陰へと隠れさせる。
[見知らぬ男]
「ありがとね」
[朝蔵 大空]
「はい、それじゃ……」
笑顔の男、そして満更でもなさそうな大空の姿がそこにあった。
[嫉束 界魔]
「ももも、もしかして、密会?!」
[狂沢 蛯斗]
「これは絶対、浮気ですね」
[巣桜 司]
「へぇ、卯月くんがいるのに」
[笹妬 吉鬼]
「まだ分からないだろ……」
[刹那 五木]
「うーん」
大騒ぎする4人を他所に、刹那は静かに考えを巡らせる。
[嫉束 界魔]
「ふーん! これは、卯月くんに報告だね!」
[刹那 五木]
「会議しよう。 1年生組と、先輩達集めて……ね」
── 緊急会議中。
[不尾丸 論]
「はぁ、彼氏ひとりじゃ足りないのかな? あの人……」
[仁ノ岡 塁]
「浮気は良くない、浮気は良くない」
暴走寸前の、不尾丸と仁ノ岡。
[原地 洋助]
「その話、本当ですか?」
疑り深い原地は、確かめるように刹那と顔を見合わせる。
[刹那 五木]
「まあ、すぐ見失っちゃったんだけど。 一緒にコンビニから出て来て、話してる所を見たんだよね〜」
[花澤 岬]
「チッ」
刹那達の話を聞いた花澤は、大きな舌打ちをする。
[土屋 遊戯]
「きゃー、花澤くん怖〜い♡ すぐ怒っちゃって余裕無〜い♡」
それを土屋が即座に茶化す。
[花澤 岬]
「はぁ……黙りなさい」
[古道 大悟]
「よく分かんないけど、あの子もガード緩いとこあるしねぇ〜」
そうやってヘラヘラと笑い、場を和ませようとする古道。
[花澤 岬]
「まったくだ。 男とふたりきりになる必要なんて、どこにある?」
[音乃 渚]
「まぁ〜まぁ〜花澤くん……」
[花澤 岬]
「黙れ」
[不尾丸 論]
「いけない先輩……ふふ、これはお仕置きが必要かな」
カラカラ……と車椅子を漕いで部屋から出て行こうとする不尾丸。
[原地 洋助]
「ちょっとー、どこ行くつもり?」
それに気付いた原地が、不尾丸を止める。
[仁ノ岡 塁]
「その男はどこだ!? あの世へ送ってやる!」
一番良くない方向に盛り上がる仁ノ岡。
[原地 洋助]
「さすがに気が早い。 お前らふたりとも、ちょっと落ち着け」
[嫉束 界魔]
「てか、大空ちゃんに直接聞けば良いんじゃない?」
嫉束は周囲にそう提案する。
[刹那 五木]
「あー、やっぱそうなる?」
刹那も、嫉束と同じことを考えていたようだ。
[狂沢 蛯斗]
「大空さんの居場所は?」
狂沢がそう言うと、巣桜がスマホを操作して画面を注視する。
[巣桜 司]
「……自宅にいらっしゃるようです」
[古道 大悟]
「まさか、GPS……?」
[笹妬 吉鬼]
「さすがっす」
ツッコむのを放棄して、笹妬は感心したフリをする。
[嫉束 界魔]
「行こう!」
嫉束は大空の家に行く気マンマンである。
[花澤 岬]
「家に全員で行くのは迷惑だろ」
常識的考え方を取り戻した花澤が、嫉束を止める。
[古道 大悟]
「ま、明日学校で聞いてみようよ」
[土屋 遊戯]
「賛成〜♡」
[音乃 渚]
「では、昼休みに改めて」
[刹那 五木]
「そうですね! 解散!!」
議論は終了し、次々と男子達は散らばって行く。
卯月「一体何をする気なんだ? あの人達……」
── 翌日、学校にて。
[朝蔵 大空]
「きゃっ……な、なんですか?」
複数の男子に、壁へと追い込まれてしまう大空。
[嫉束 界魔]
「大空ちゃん、昨日の男の人は誰!!」
困惑する大空に、嫉束は容赦無く問い詰めていく。
[朝蔵 大空]
「えっ……」
[不尾丸 論]
「他の男なんて構ってる暇、あるんだ? オレには全然構ってくれないくせに……」
[朝蔵 大空]
「えっ」
[花澤 岬]
「お前は気が多過ぎるな、少しは節操を覚えたらどうなんだ?」
[朝蔵 大空]
「えっ、えっ」
一方的に責められ、大空は何も言い返すことが出来ないでいる。
[嫉束 界魔]
「浮気だよね? そうだよね!」
ついにはダイレクトに、『浮気』と言うワードを出していく嫉束。
[朝蔵 大空]
「い、いつのこと? 誰のことだか……」
大空はなんとか隙を見つけて、細々と話し出す。
[花澤 岬]
「とぼけても無駄、目撃者も何人かいる」
[不尾丸 論]
「誰のことか分かんないって……浮気相手はひとりじゃないの?」
不尾丸の、火に油を注ぐような発言。
[嫉束 界魔]
「え!? 昨日の人の他にもいるってこと!? 大空ちゃん!!! 君には卯月くんがいるんだよ?!」
嫉束の、真剣な面持ち。
[花澤 岬]
「は? お前……一体、何人と浮気してるんだ!!」
[不尾丸 論]
「先輩、本当に悪い子だね」
嫉束、不尾丸、花澤の怒りは頂点だった。
[笹妬 吉鬼]
「その辺にしとけよー」
[古道 大悟]
「そうだよ、まずは彼女の話も聞いてあげて〜」
フォロー上手な古道が、ニコニコと大空の応援をする。
[原地 洋助]
「大空先輩、昨日コンビニで誰かと会ってたんですか?」
原地が話を進めようと、気の利いた言葉を大空に投げ掛ける。
[朝蔵 大空]
「え……なんで、それ知って……」
[刹那 五木]
「あ〜、これは偶然なんだけど。 お前が知らない男の人と喋ってるのを、おれらが見ちゃったんだよねぇ」
[朝蔵 大空]
「見てたの……」
自分の知らない間に色々見られたことを知り、大空は青ざめる。
[狂沢 蛯斗]
「そろそろ答えて下さいね」
[巣桜 司]
「大空さん、正直に話して下さい」
待ちきれない狂沢と巣桜が、大空に催促する。
[朝蔵 大空]
「は、はい……えっと、コンビニにはアイスを買うつもりで寄ったんですけど」
[土屋 遊戯]
「ダーリン可愛い♡ でもでも。 アイスぐらい、ぼくがもっと美味しいの作ってあげるのにー♪」
[音乃 渚]
「アイス! ワタシも食べたいです♪」
土屋と音乃は、《《アイス》》の話をしたそうだ……。
[古道 大悟]
「はいはい、それで?」
古道が脱線を食い止め、話を戻す。
[朝蔵 大空]
「えっと……コピー機の使い方が分からないから、教えてほしいって声掛けられたんです」
[巣桜 司]
「あっ……」
[原地 洋助]
「はぁ……」
ここで巣桜と原地の肩の力が、一気に抜ける。
[朝蔵 大空]
「ほ、ほんとにそれだけなんです……!」
大空は、これ以上何を話せば良いのか分からない。
[仁ノ岡 塁]
「メリィ! 怖かったな、そんな奴に絡まれて……守ってやれなくて、すまない!!」
仁ノ岡は大空を憐れみ、慈しむように大空を抱き締める。
[朝蔵 大空]
「え??」
[笹妬 吉鬼]
「ん、つまりただの人助け」
[朝蔵 大空]
「そ、そう!」
不利な状況が抜け出したい大空は、必死に笹妬に同調する。
[嫉束 界魔]
「なーんだそうだったのか〜! 僕達、早とちりしてたよ〜」
[原地 洋助]
「そんなことだろうと思いました」
[不尾丸 論]
「へぇ、そうやって誰でも助けるんだね」
大空の疑いが晴れ、良い方向に向かっていたのを、不尾丸が再びネガティブな空気に戻そうとする。
[原地 洋助]
「論、しつこい」
[仁ノ岡 塁]
「許せない! 我らのメリィに!!」
不尾丸の悪い空気作りに、まんまと乗っかる仁ノ岡。
[土屋 遊戯]
「きゃはっ☆ 下心0ではなさそうだよね〜」
面白がって、また別の方向に火を付けようとする土屋。
[花澤 岬]
「人助けは良いことだが。 助ける相手を見極めないと、危ない目に遭うぞ。 次から気を付けるように」
花澤は、大空を理不尽気味に厳しく叱る。
[朝蔵 大空]
「なんで私、良いことしたのに怒られてるの……?」
[花澤 岬]
「そんなの、お前を守りたいからに決まってるだろ!!」
反省しようとしない大空に、花澤は更に怒鳴りつける。
[古道 大悟]
「ひゅ〜♪ 岬、イケメン〜♪」
[土屋 遊戯]
「花澤くんの保護者気取り、きっつ〜♡」
[音乃 渚]
「花澤くん、カッコ良いよ!」
[花澤 岬]
「っ……/// こ、これは……お前ら! いちいち茶化すな!!」
そう言う花澤の顔は、真っ赤だった。
[土屋 遊戯]
「きゃっ〜♡ キレた〜♡」
[朝蔵 大空]
「意味が分からない。 わ、私はなんか間違ったことをしたの……?」
[笹妬 吉鬼]
「いや、間違ってるのはこいつらだから」
[刹那 五木]
「あははっ、とにかくなんも無くて良かった! ごめんな、大空」
[狂沢 蛯斗]
「ふん、紛らわしい」
[巣桜 司]
「すみません、大空さん……」
[嫉束 界魔]
「僕も、いきなり疑っちゃってごめんね……?」
次々と、謝罪の言葉を漏らしていく同級生達。
[朝蔵 大空]
「う、うん……」
だけど謝られても、大空の心情は微妙だった。
[不尾丸 論]
「先輩可愛いし、お人好し過ぎるから。 学校の時以外は、外出禁止にしたほうが良いと思うけど」
[朝蔵 大空]
「な、なんで?」
[仁ノ岡 塁]
「卯月……彼奴は何をやっているのだ? いくらなんでも、メリィを自由にさせ過ぎだ!」
[巣桜 司]
「檻に入れとけば安心……」
サラッと、恐ろしいことを言う巣桜。
[刹那 五木]
「ちょっとちょっと巣桜くん! またダークモード入ってるよ!」
[巣桜 司]
「あっ、すみません……」
我に返って、巣桜はすぐに謝る。
[嫉束 界魔]
「ちょっと誰か卯月くん呼んで!!」
[笹妬 吉鬼]
「あいつの連絡先持ってない……」
[嫉束 界魔]
「じゃあ大空ちゃん呼んで!!」
嫉束が大空に、ケータイで卯月を呼び出すように促す。
[朝蔵 大空]
「は、はい?」
[嫉束 界魔]
「早く!!」
[卯月 神]
「あ、います、います」
ドア前で話を聞いていた卯月が、姿を現す。
[朝蔵 大空]
「!?」
突然の彼氏の登場に、大空は声が出ない。
[狂沢 蛯斗]
「なんだ、居たんですか」
[原地 洋助]
「居るなら言って下さいよ」
狂沢と原地が、卯月に不満をぶつける。
[古道 大悟]
「わっ、いつから居たの?」
[卯月 神]
「最初からですよ」
卯月は淡々と、当然かのように喋る。
[土屋 遊戯]
「怖っ! ストーカーじゃん!?」
[卯月 神]
「貴方達に言われたくないです」
[不尾丸 論]
「卯月先輩、もっと朝蔵先輩を縛り付けて?? 自由を与えないで??」
[卯月 神]
「はい?」
不尾丸の横暴な要望に、卯月は聞き返してしまう。
[仁ノ岡 塁]
「卯月! 貴様、愛するメリィをほっといて何をしているのだ!? メリィが寂しがって浮気をしたら、貴様が悪いのだぞ!?」
[原地 洋助]
「まあボクも、その部分には同感かな。 いつもちゃんと構ってあげてるの??」
[卯月 神]
「あげてます、あげてます」
そう返答する卯月は、心底面倒臭そうである。
[朝蔵 大空]
「ムッ……卯月くん、あんまり構ってくれない」
ここで大空が、卯月に対する欲求不満を吐露する。
[卯月 神]
「なっ……」
[不尾丸 論]
「やっぱり。 それじゃあ浮気されても、文句言えないね」
[仁ノ岡 塁]
「卯月ー!! 貴様ー!!」
[原地 洋助]
「あんたがあんま構ってあげないから。 大空先輩、本当に浮気しちゃうかもよ? それでも良いの?」
これまた卯月を集中的に責める下級生達。
[卯月 神]
「良いわけないですよ」
卯月はピシャッと否定する。
[朝蔵 大空]
「卯月くん!!」
卯月に構って欲しい大空は、大声で卯月を呼ぶ。
[卯月 神]
「それに、大空さんには、大空さんの自由と権利が……」
卯月はそれを無視して、不尾丸達に反論する。
[音乃 渚]
「自由? 要りますか、そんなもの?」
[土屋 遊戯]
「んふっ♡ ぼくなら食べるものにも、着るものにも困らせないのに〜」
[花澤 岬]
「自由過ぎると怪我をするんだよ。 ルールがあるから、安全でいられる」
[古道 大悟]
「構ってほしくて気を引こうとしちゃう……その気持ちは分かるかも……」
各々で危ない思想を暴露していく、上級生達。
[卯月 神]
「うわ〜、この人達末期だ」
[刹那 五木]
「あははっ、本当に面白いなぁ〜」
[笹妬 吉鬼]
「面白いか?」
[朝蔵 大空]
「あの、私もう帰って良いですか?」
……今日も平和です。
