総長は、私にだけ甘すぎる。
「……じゃあなんでここにいるの」

気づけば、言っていた。

彼の手が一瞬止まる。

ほんの一瞬だけ。

でもすぐに、何もなかったように言う。

「偶然だ」

「そんなの信じられるわけない」

声が少し強くなる。

クラスの視線が集まる。

でも彼は動かない。

ただ静かに言った。

「信じなくていい」

なのにその声だけが。

なぜか、少し優しく聞こえた。
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