ぼくと世界とキミ
「……はい!おしまい!!」
そう言ってセリアは俺から手を放すと、ニッコリと可愛い笑みを向ける。
その笑顔のせいですでに赤い顔が更に赤く染まり、すでに心臓は口から飛び出そうな程に強く鼓動を打っていた。
「ほ、ほら!!急ぐんだろ!?こんな所で時間潰してる暇ない……」
オロオロと視線を泳がせたままそう言ったその瞬間、おかしな事に気付く。
「……あ、あれ?そういえば……馬は?」
キョロキョロと辺りを見回すが、そこに馬の姿は見えない。
「……逃げた様だな」
ジルは素っ気なくそう答えると、フゥと小さくため息を吐いて肩を竦めた。
「えぇえええ!?ど、どうすんだよ!?次の街だってまだ全然先なんだろ!?」
「この森を抜けるには邪魔になるよ。多分、普通の馬ではこの森は抜けられないから。ささ、行こう!!」
アワアワと慌てる俺を宥めセリアはそう言うと、森に向かってスタスタと歩いて行く。
それにジルはコクリと頷くと、何も言わないままセリアの後を追って行った。
……行くって……森を?