幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。【完結】
「……へ?」
突然の言葉に、間抜けな声で聞き返してしまった。
「好きって?」
「そのままの意味」
由利さんは、表情を変えずにハッキリと言い切った。
「……俺、好きな人教えたばっかりじゃなかった?」
困惑して尋ねると、彼女は「うん」と頷く。
「でも、彼女ではないんでしょ? だったら、いいじゃない」
「…………」
完全に呆気にとられた。
大人しそうな見た目に反して、まっすぐで、強引だ。
だが、曖昧な態度をとって、めぐみに変な誤解をされるわけにはいかない。
僕は腹を括り、真剣な顔を作って言った。
「いや……よくないわ。ごめん」
明確に拒絶した。
それでも由利さんは、引かなかった。
「でも、私の気持ちだもん。自由でしょ?」
(え、こいつ……強い……)
圧倒されて言葉を失う。
しかし、ふと身体の前で握られている両手に目をやると――その白い指先が、微かに震えていた。
(勇気、出してくれたのか)
そう気づいた瞬間、彼女の不器用な強がりが理解できて、それ以上は突き放す言葉を紡げなくなった。
由利さんは「ふう」と小さく息を吐くと、再び僕の隣に座り直した。
「……告白されるの、慣れてそうだね。モテそうだもん」
少しだけトーンを落として、ぽつりと言う。
「……いや、そんなことないけど」
僕は否定したが、由利さんはそれを謙遜と受け取ったのか、少し意地悪な響きを含ませて言った。
「モテるのに、自分の好きな子とはまだ付き合えてないんだね」
痛いところを的確に抉られ、思わず反射的に叫んでいた。
「……うるさいわっ!」
(あっ)
言ってから、すぐにやばいと焦った。
めぐみの話題だったからとはいえ、他の女子に対して『無難スマイル』を剥がし、素の態度を出してしまった。
恐る恐る、隣に目を向けると。
由利さんは僕の反応を見て、驚くでも傷つくでもなく、なぜか少し嬉しそうにクスクス笑っていた。
(……なんか、この人……調子狂うわ)
完全にペースを握られた僕は、大きなため息をつきながら、手元のぬるくなったお茶を口に含んだ。