幼馴染への三度目の失恋を回避したい ――激重な片思いを隠さなくなってきた彼に、心臓がもたなくなってきた彼女。
 ◇

 外は茹だるほどの暑さで、アスファルトには陽炎が揺れていた。

 小走りをして、なんとかめぐみとの待ち合わせの五分前に駅前に着いた。
 なるべく汗をかきたくなくて、ビルの日陰に避難して待つ。

 ほどなくして、人混みの中からめぐみの姿が見えた。

 彼女は部活が終わってから直接来たため、いつもの制服姿だ。
 すぐに僕に気づき、ジリジリと照りつける太陽よりも眩しい笑顔を見せて、大きくこちらに手を振る。

「なっちゃーん! ごめん、お待たせ! 今日ほんとあっついね」

 駆け寄ってきためぐみは、涼しげにポニーテールをしていて、白いうなじや首元にうっすらと汗をかいていた。

「……暑いよな」

 その無防備な首元を見てはいけないような気がして、慌てて目を逸らしながら同意した。

 ◇

 僕たちが来た場所は、文化祭の打ち上げでクラスのみんなと来たカラオケだ。

 先日、どうしてもめぐみに「デートしよう」と言えず、「……どこか行きたいとこある?」と誤魔化して聞いた。
 そうしたら、めぐみは「うーん、カラオケかな! なっちゃんのステージ、独り占めしたい」と少し照れながら言ったので、その希望を叶えることにした。

 約束をして二人きりで外で会うのは、今日が初めてだ。

 ――めぐみはこれを「初デート」だと認識しているだろうか。
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