本日より、弊社社長と疑似子育て始めます
1.弊社社長に隠し子疑惑?!

じめじめと湿度の高い空気がまとわりつく六月中旬。

宮部野々花はコンビニで買ったサンドイッチを膝に乗せたまま、都心の中にある大きな公園のベンチに座って天を仰いだ。

「これからどうしよう……」

スマホを片手に持ったまま、誰にともなく呟いた声がどんよりとした空へと吸い込まれていく。どうしようと呟いたところでどうにもならないのはわかっているけれど、声に出さずにはいられない。

昨日は、とにかく散々な一日だった。

朝からお気に入りのパンプスのヒールが折れたし、せっせと作ったお弁当をキッチンに忘れて無駄にしてしまった。さらに夕方には、後輩のちょっとしたミスをカバーするために残業していると先輩男性から『時間内に終えられないなんて業務効率が悪いんじゃないか』『金曜なのにデートする相手もいないのか』とネチネチと嫌みを言われる始末。

これだけでも〝ツイてない日〟だと気分が落ちていたのに、さらなる不幸が野々花を待ち構えていた。

残業を終えて帰宅すると、自宅マンションが燃えていたのだ。

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