銀色の雲の上

第1話 丸窓

アレクサンダーは走った。

石造りの階段を駆け上がり、走りに走って最上階の丸窓にたどり着いたとき、もう彼の姿はなかった。
ハァハァと息を切らしながら、グイッと丸窓の外を見下ろす。

「いない」

さすがにここから飛び降りることはないか。

しかし、階段をすれ違うこともなかった。

肺の焼けるような息苦しさに顔を歪ませながら呟く。

「まぼろし?」

いや、確かにいた。遠目から目が合ったはずだ。絶対に見間違いではない。

しばらく肩で呼吸をした後、ハァ、と大きく息をつくと、その場にドカッと座り込んだ。

「でも、この校舎のどこかには、いるってことだよな」

このギムナジウムの生徒であることは間違いない。俺は、必ずアイツを見つけ出す。
あの時、泉で出会った少年を。
そう思ったところで校舎の鐘がなった。

「やべ」

アレクサンダーは、たった今来た階段を再び駆け下りて行った。
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