祝。アフディーとイリオネスの冒険
さよならを告げた三人
 天の川を渡り切った彦星は、濡れた地面に手をつき、激しく肩で息をしながら織姫を見上げました。

「すまない……。神の言いつけや規則を破るのが怖くて、自分の本当の気持ちを、ずっと誤魔化そうとしてしまったんだ」

 織姫もまた、涙を堪えながら首を振りました。

「いいえ、私もなの。いつの間にか、自分自身の心とは違う『理想の天女』を演じることに必死になってしまっていたわ……」

 その言葉を合図に、二人は静かに、けれど強く手を取り合いました。

  アフディーとイリオネスたちは、再会を喜びながらも、その神聖な時間を壊さないよう、少し離れた場所からそっと二人を見守ります。

 喧騒から離れた岸辺では、疲れ果てた金牛星が一人、静かに佇んでいました。

 全身から滴る川の水と、荒い吐息。

 誰に褒められるためでもなく、ただ愛する人のために全てを出し切った彼女の背中は、夜空に輝くどんな星よりも気高く見えました。
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