祝。アフディーとイリオネスの冒険
二人はそれ以上言葉を交わすことなく、銀河の光の中で寄り添い合う織姫と彦星の幸せそうな姿を、いつまでも静かに見つめていました。

 それまで空に浮かんでいた、イリオネスの指の間を抜けて広がっていた虹の筋は、導かれるように大きな笹の木へと吸い込まれていきます。

 すると、笹の葉に結ばれるようにして、鮮やかな五色の紐がさらさらと垂れ下がるのでした。

降り注いだ虹が形を変えたかのようなその光景を、アフディーたちは不思議そうに見上げていると、それに気づいた金牛星が、どこか懐かしむような声で教えてくれました。

「……青は人間力を高め、徳を積む『仁』。赤は親や先祖へ感謝する『礼』。黄は信頼や友愛を保つ『信』。白は義務や決まりを守る『義』。そして紫は、学業や知恵を得る『智』……ってやつさ」

 金牛星はふう、と息をつき、色とりどりに揺れる笹の葉を見つめました。

「どういうことだろうね。何かの魔法かい? 笹の葉に、こんな飾りがつくなんてさ……」

 すると突然、金牛星が何かを思い出したように、アフディーへ問いかけました。

「そうか……あんたかい? イリオネスが言っていた『姉さん』っていうのは」

 その言葉が耳に入った瞬間、少し離れた場所にいたイリオネスは、びくりと体を震わせて聞き耳を立てました。

 アフディーは一瞬、きょとんとした頓狂な表情を見せましたが、すぐに破顔して答えました。
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