黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
そこには今、電話で言われたのとほぼ同じ内容が会社から送られてきていた。

呆然と床に座り込んでいたら、再び携帯が鳴り出した。
また、会社からだ。
震える手で携帯を拾い、応答をタップして耳に当てる。

『いつになったら来るんだ!
仕事が片付かねぇだろうが!
査問会も終わってねぇんだぞ!
すぐに来い!』

また一方的に怒鳴り、上司は電話を切った。
頭が真っ白でなにも考えられない。
ぐるぐる目の前が回り、身体が揺れる。

その後も、繰り返し上司から電話がかかってきて怒鳴られ続けた。
断続的に通知音も鳴り、私を非難するメッセージが送られてくる。

「はぁはぁはぁはぁ」

息が、苦しい。
頭が、ガンガンする。

「夏初!」

遠くで、晴貴さんの声が聞こえた気がした。



額に冷たいものが触れ、重いまぶたを持ち上げた。

「気がついたか」

眼鏡の向こうできつく眉を寄せ、晴貴さんが私の額から手を離す。

「……はい」

起き上がろうとする私に手を貸し、彼は置いてあったグラスから水を飲ませてまた寝かせた。

「ごめん。
やっぱりひとりにするべきじゃなかった」

< 109 / 253 >

この作品をシェア

pagetop