黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
先輩秘書の斉藤(さいとう)さんがいろいろ教えてくれる。
彼女は所長の秘書だ。
スーツが似合う、キリッとしたいかにもできる秘書という感じで憧れる。
仕事もてきぱきとしていて、いつかああなりたいと目標ができた。

「じゃあ、ここまでお願いできるかな。
わからないことがあったらなんでも聞いて。
ちょっと多いから大変だとは思うけど」

積まれた書類の山を見て斉藤さんが苦笑いする。

「はい」

晴貴さんは前に秘書が辞めて忙しいとこぼしていたが、本当にそのとおりのようで仕事がかなり溜まっている。

「よしっ、やるぞ」

小さく呟いて気合いを入れ、入力を始めた。

「夜桜さん。
お昼行こうか」

集中して入力していたら斉藤さんが声をかけてきて、頭を上げる。

「あの、でも、このままだと終わりそうにないので」

頑張って入力したが、まだ終わりは見えない。
お昼休みも返上しないと無理だろう。

「はいはい。
うちの事務所はね、休み時間はしっかり取るの。
だから一旦、終了」

私からマウスを奪い、彼女は目にも留まらぬ速さで保存からスリープ状態にしてしまった。

「でも」

「でもじゃない。
みんな待ってるし」

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