黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「あっ、いや、礼には及ばないっていうか」

「法廷でお会いできるのを楽しみにしています」

ぽんと肩を叩かれ、とうとう憲吾先生は声にならない悲鳴を上げ崩れ落ちた。

「私、しーらない。
関係ないしぃ」

あれだけノリノリで憲吾先生を擁護し、私を陥れようとしていたくせに、篠木さんが知らん顔して憲吾先生を残して部屋を出ていこうとする。

「篠木さん」

しかしそんな彼女に晴貴さんが声をかける。

「あなたに対する訴訟の準備も整いました。
近く、内容証明をお送りいたしますのでご確認、よろしくお願いします」

晴貴さんは彼女を訴えるのは難しいかもしれないと言っていた。
けれど私の知らないうちにここまでやってくれていたんだ。

「だから。
私はやってないし」

強がりながらも篠木さんの声は震えていた。

「では、法廷で証明してください」

「ふん」

虚勢を張って彼女が出ていく。

「ミ、ミチル!
置いていかないでくれー」

半べそをかいて憲吾先生が篠木さんを追っていき、静寂が訪れる。

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