黒魔術の使い手ですが何か?! 死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい
そのまましばらくそこで過ごしたオーロラだったが、夜までにウォルターは公爵家へと直接オーロラを送り届けてくれる。

「驚いた?」

「はい」

馬車の中はふたりきりだ。
いろいろ聞きたいことは満載だ。
だが、何から聞いたらいいのかわからない。
それに王宮から公爵家のタウンハウスまでは十分ほどだ。
公爵家は一等地に屋敷があるからだ。

「何よりも殿下がご無事でよかったですわ。どうされたのかと心配いたしましたので」

「うん。いろいろあった。君もいろいろあったよね」

「はい。そうですね」

「いつかちゃんと話そう。今は時間がなさすぎる。ひとつだけ知っておいてほしい」

「はい」

「君との婚約は俺が望んだことだ」

「え?」

驚いた。

「グッドフェロー公爵家の長女がオーロラだと知っていてそれを望んだ」

「えっとそれは……」

前世も婚約者だったから今世も何も疑問に思わなかった。
ただ、公爵たる父が自分の娘を王妃にしたい。名誉のために。それだけのことだと思っていた。
だけど……。

「君も知ってのとおり俺は小さい頃毒を盛られていた。この王宮内にはいっぱい敵がいる。その敵に対抗するためには後ろ盾が必要だと父の国王陛下から有力貴族の娘と婚約するように言われた」

あ、そういうことか……。
それでグッドフェローの娘であるわたしを……。
期待した自分がバカだった。

「その時俺は迷わず君を選んだ。君がよかった」

「はい。わかります」

わたしのことなら小さい頃から知っているから気が楽だったのね。
もしかして前世も同じ理由だったのかもしれない。
前世でも小さい頃会っていたもの。

理由を知って気が楽になった。それなら自分も気楽にノエルにバトンを渡せるというものだ。
このまま一年後に王宮に王太子妃として入宮することになるのはもう決まってしまっている。
逃げることはできない。
逃げてしまうと、公爵家のメンツがまるつぶれとなり、公爵家は追放され、母にも危害が及ぶ。
それはできない。
だから入宮はする。
でも、ノエルが現れたらそのままバトンタッチしよう。

「よかった。わかってくれた」

ウォルターはほっとした顔だ。

「では、また次の水曜日に待ってるからね」

「はい。殿下、ごきげんよう」

怒涛の一日は終わった。

あまりにいろんなことが起きた一日だった。
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