黒魔術の使い手ですが何か?! 死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい


「殿下が光の魔力をお持ちだとは想像しませんでした」

「ああ。いつ打ち明けようかと思っていたんだが、なかなかタイミングがつかめなくてね」

その後ウォルターの部屋に出向き、ウォルターは人払いをした。今までは扉は開けたままにしていたが、今回は閉めて、そしてそのかわりオーロラの護衛騎士のスコットとウォルターの護衛騎士のひとりだけが付き添うことになった。

信用できるふたりである。

光の魔力は魔力の中で最上位のものだ。
白の魔力にも勝るそれはすべての魔力を凌駕すると言っていい。
ただし、癒しの力はない。癒しの力は白の魔力の特性であり他の魔力には一切その力はないのだ。

「精霊と、契約されているのですか?」

ウォルターの髪からでてきたあの金色の鳥はまさに精霊だ。

「そうだ。ルヴィエにいたころに魔力があることが発覚したんだが、その時出会った。なんだか不思議なんだが、俺を探してここに来たと言ってね」

「探して?」

「絶対に俺じゃないとダメだから契約してほしいと言うんだ」

なんだろうそれは……。

「不思議ですね」

「ああ」

でてきたクッキーを食べていると、突然クティの声がする。

「オーロラ。俺もそれほしい」

「え?クティ?出てきたの?」

「うん」

「オーロラの精霊かい?」

「ええ。そうなんです」

「君も契約していたのか。いつしたんだい?」

「え?えーっと」

前世なんていうわけにいかないし。

「殿下と会う少し前ですかね」

「へぇ。早いんだな」

「そうみたいです」

そんなことを話しているうちにウォルターの髪からもぽっと鳥が現れた。

「アウラも出て来たのか」

「わたしのウォルターにさわらないでよね」

「なんだ。君か」

精霊同士が話しているのを見るのは初めてだ。
どうやらお互い知り合いらしい。
ふたりでがやがや言い合いをしている。

「あなた、本当に黒の精霊?前見た時はもっと黒に近かったわよね」

「ああ。そうだよ」

「だんだん色が白くなってるじゃない」

「まぁね。かっこいいだろ?」

「そうかしら?わたしは黒い方が好きだけど」

「そんなこと言う君がめずらしいのさ」

だが、どうやらこの精霊、護衛騎士たちには見えていないらしい。
魔力がないと見えないのだろう。

「彼らには見えないようだな」

「そうみたいです」

そのまま精霊たちは長いこと話し続けていた。

オーロラは思った。
もしかしたら前世でウォルターが服毒し続けても命を繋ぐことができていたのは金色の魔力を持っていたからなのかもしれない。
強力な魔力の持ち主には毒は効かないこともあると言うから。
ウォルターは元々王の器を持って生まれた強い人なのだわ。

「そういえばオーロラ。パルリム王国の情勢がかなりまずいようなんだ」

「戦争が起きるということですか?」

「その可能性が高い」

かなり前世と変わってしまっている。
前世では二年後くらいだったのに。

「場合によっては俺も国境へ出向く必要があるかもしれない。そうなると……」

「結婚式の延期ということですね」

「ああ。その可能性も否めない」

「わたしのことは気にしないでください。国が大事ですわ」

「そうなのだが……」

じっとオーロラを見つめる。

「俺ははやく……」

「結婚はいつでもできますわ」

そういいながら、もしかしたらその戦争でウォルターはノエルと運命的に恋をするのかもしれないと思っていた。
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