闇深兄の溺愛 〜甘いデザートには、一滴の毒を〜

第17章 終わらない夜





あの碧くんと出かけた季節が
懐かしくなるほど、




季節はあっという間に冬を告げていた。




空からふわりと舞う粉雪が、

街のイルミネーションを一層華やかにしていく。





「美桜、準備できたか?」


「う、うん」





クリスマスイブ——

聖夜を控えた昼下がり。





マンションの前に停められた、
光沢のある黒い高級車。





運転席から降りてきた颯は、
上質な黒いコートを(まと)い、



街ゆく人が思わず足を止めるほどの、
神々しいほどのオーラを放っていた。





「今日は一秒も、お前を退屈させたりしないから」





彼は私の耳元でそう言うと、
助手席のドアを開ける。



車内に乗り込むとそこには、
私が一番好きなシトラスの香りが微かに漂い、



スピーカーからは、私が最近
スマホのサブスクで繰り返し聴いていた
プレイリストが流れてきた。





「……颯、この曲って……」


「ん? 以前、美桜が『いい曲だね』って言ってた気がしたから。……気に入ってくれたならよかった」





颯はハンドルを握り、穏やかに微笑む。





(……私、言ったっけ? 独り言みたいに呟いたのかな……)





私の些細な好みを、一滴も(こぼ)さず
(すく)い上げてくれる。





その徹底した「献身」ぶりに





私は少しの違和感と、

それを上回る嬉しさを感じていた。







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