Marry Me?

Vol.22.あなたの歴史を

「うちは……ど田舎で。本当に。ど田舎で……」ゆったりあなたに抱かれ、あたしは顔を起こす。「超辺境だよ。マックもミスドもスタバもないし、コンビニなんて、車で行くんだよ。

 緑川っていう、有名な市の近くに住んでいて。高校まで地元。高校からは、県立の進学校が、緑川にしかなかったから、そこ、進学したの。

 親戚同士が仲がよくて。……兄がいて。実家野菜屋さんで、兄貴がお嫁さん貰って跡を、継いでる……」

 あたしを撫でる大樹の手つきはやさしい。……やさしい、目を、している……。

 どこにでも転がっているちっぽけな話だというのに。……大樹にとっては、羨ましい話なのかもしれない。

 母親が鬱。育児放棄……。あたしには、想像もつかない世界だ。

「大樹は……留学。どこ行ったの」と彼の首の後ろに手を回しそんなことを問うてみれば、「NY」と彼は答える。

「NYの学校行った記憶はあるんだけど……途切れ途切れで。いったい自分が、なにを思って生まれ育ったのか。……そこら辺を、振り返りたくなったんだ」

 苦しかったはずの過去を振り返る性格か。……自傷的だな。
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