Marry Me?

Vol.24.エイプリルフール【大樹SIDE】

 母が面倒を見切れない部分は、黒人のシッターを雇った。カルラさんという、ふくよかで、親切な中年女性だった。

 ぼくの状況を見て、眉をひそめる。……カルラさんが、母のことをよく思ってはいないことが、よくよく分かった。

 黙って、散らかった部屋を片付けていく。――ぼくを、セントラルパークに連れていくこともあった。

 母のように、遊んでくれた。

 けれども母には――なれなかった。

 ぼくはほかの誰でもない。母からの愛情が欲しかったのだ。カルラさんが、ぼくにやさしく接するのは、雇い主であるぼくの父が、割合よい給与をくれるからだ。――仮に外でカルラさんに出くわしたとて、せいぜい、にこやかに挨拶するくらいで、労働時間と同じく、積極的にぼくと関わることはないだろう。断言出来る。

 仕事とは、そういうものだ。

 NYに来てから、なお、父は忙しくなった。当然の帰結だ。
 
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