アンコールは君だけに ~孤高のピアニストと秘密の契約婚~
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翌朝、奏は早くに屋敷を出た。大きい荷物は先に送っているため海外渡航するとは思えないほど身軽だ。
今回の海外ツアーは日程が厳しいため、妻である紬希は留守番するよう言われている。むしろ好都合だった。
紬希は何も知らない顔をして玄関に立つ。
「行ってらっしゃいませ」
笑顔を浮かべて、いつも通りの見送りに勤しむ。
奏は意外そうな表情をして紬希を見つめる。
何か言いたそうにしていたが、結局いつも通りの言葉が返ってきた。
「……行ってくる」
車が走り去る。
紬希は、その場に立ったまま、しばらく動けなかった。