『俺様王子が不器用についた最初で最後の優しい嘘。』
「ちょっと待って! いきなり何言って……!」


 呼びかける声も虚しく、彼の背中は遠ざかっていく。


残されたのは、散らばった教科書と、騒ぎ始めた周囲の視線、そして——自分でも驚くほど激しく打ち鳴らされる、私の心臓の音だけだった。


 これが、私と彼の、あまりに強引で。


 そして、この時はまだ知るはずもなかった、世界で一番切ない物語の始まりだった。
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