親友の御曹司が溺愛彼氏になった一夜
佐伯さんが売り場を指差す。

「俺が買ってくる前に、勝手に二人で行くなよ」

「はいはい」

ダッシュで買いに行く悠真に、佐伯さんはクスクス笑っていた。

「佐伯さん?」

「あの人、本当に白石さんの事、大切にしてるんだね」

私はチケットを買って走ってくる悠真を見つめる。

あいつは大学の時からモテた。

女友達は皆、あいつの彼女になりたいと言っていた。

でもあいつが御曹司だって分かった瞬間、目の色を変えた。

あいつよりも、あいつの後ろにある巨万の富に、目を向け始めたんだ。

――俺って、結局何なのかな ――

――え? ――

――俺を見てるのか、家柄を見てるのか分かんない ――

だから私はあいつの親友になった。

あいつ自身を見る為に。

「美桜!」

あいつの笑顔が、崩れないように。
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