醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 往復するだけでも一ヶ月近くかかる。パトリスの言い分は事実として正しかった。

「パトリスの戴冠式は予定通り行う。だが結婚式は延期だ。エリシアの性格を矯正しないと王妃として機能させるのは難しいだろう」
 ユーイン国王は即答した。

 “矯正”と言う言葉に、エリシアの背筋を冷たいものが走る。
 マリアンヌ王妃はゆっくりと立ち上がり、鋭い視線を向けた。

「勘違いしないで、エリシア。貴女は聖女だから、仕方なく王家が受け入れるだけ。十年も魔獣と遊んでいた女に、王妃としての資質などあるはずがないでしょう?」

「それもそうだな」
 パトリスは肩を竦め、軽い調子で続ける。

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