腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない
「自分がだましていたと思っていた相手からだまされるのはどんな気分だ? プロポーズにこたえたのも油断させるため。本当は君への愛などとうに尽きていたのに婚約者気取りとは、惨めな男だな」
「……本当なのか⁉ 今まで俺を騙していたのか?」

私は意を決して広士をまっすぐにらんだ。

「そうよ。これで騙される痛みがわかった?」

広士は唇を噛み、私をにらみ返した。

「さんざん励まして支えてやったのに、恩をあだで返すのか。結局女であることを武器にするんだよな。お前ら女の営業なんて、邪魔なだけだ」

あまりの言葉に聞き捨てならなかった。

「私は女を武器にした仕事なんか一度もしたことがないわ。泣いて、這い上がって努力して切り開いた道を歩んできた。卑劣な行為で成果を残そうとするあなたなんかに言われる筋合いはないわ」
「くだらねえ。勝手にしろ」

悪態をつき、広士は踵を返して去っていった。
足音が遠ざかった途端、緊張がどっと解ける。
肩が震え、胸の真ん中がきゅうと痛む。
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