あと30日で、他人に戻るふたり
「じゃ、失礼しましたー!またお願いしまーす!」

元気のいい若いお兄さん二人組が帽子をとってペコッと頭を下げたあと、颯爽と帰っていく。

玄関で力なく「ありがとうございました…」と返事をした私は、戻りたくはないけれど仕方なくリビングへ戻る。


キッチンには、作りかけのチャーハン。
────私の夕飯、いつ食べられるの。


リビングに届いた、大量の荷物。

ソファの存在感はもちろん、とてつもない。
でも、それだけじゃない。

ソファ以外にも、すごい数のダンボールが届いたのだ。


「なにこれ…。どんだけ頼んだの」

つぶやいて、箱を覗き込む。

チェスト、サイドテーブル、カーテン、ハンガーラック、テレビボード…。
テレビボード?

目に留まり、じっと見つめた。

私が昨日持ち込んだテレビに、ちょうどよさそう。


もしかしたらサイズに合わせて買ってくれたのかな、と思ったりもするけれど、彼の思惑は分からない。


カーテンも届いたということは。
急いでそのダンボールだけ先に開けると、無地のライトグレーのしっかりした生地のカーテンが入っていた。

「助かった…!」

昨日、本当は買いたかったやつ!


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