遼くんは泣き顔がお好き。
あたしのからかいにも涼しい顔をしてかわす宮尾くん、
なかなかやる奴だ。
”話聞いてるようで聞いてない”
…初めて言われた。
あんま喋ったことない宮尾くんにこんなこと言われるなんて、もしかしてミカちゃんやユアちゃんも気づいてて言ってこないとかそういうこと?
そう言えば今日ミカちゃんに、「話聞いてる?」って言われたような…。
気をつけないと。
「悪気ある感じじゃなくてさ、
なんか違うこと考えてんだろうなーって感じの話聞いてなさだよな久原さん」
「…それは申し訳ない…」
「申し訳ないって、武士かよ」
ケラケラと笑う宮尾くんを見て、心の中でホッとため息をついた。
怒ってるわけではなさそうだ。
「…宮尾くん何部なんだっけ?」
「陸上〜。短距離走ってる」
「へえ…なんか言われてみたら足速そう」
「ふ、適当かよ。本当興味ないんだなー」
そう言ってまた笑う顔を眺めながら思う。
あたしなんか面白いこと言ったっけ?
首をひねるあたしを置いて進んでいく背中に続いて教室へ入る。
「あ、ちょっと小雨になってきたっぽいよ」
その言葉につられて窓の外を見ると、確かにさっきより雨足が控えめになったような気がする。
帰るなら今のタイミングしかないな。