遼くんは泣き顔がお好き。
電話が切れてから一体何分くらい経ったんだろう。
” こんなとこで誰かに見られるとか、漫画みたいな展開ねえから。”
宮尾くんの言葉が頭に浮かんで消えていく。
漫画みたいな展開、あったんですけど。
遼くんのあの口ぶりからして、最後に宮尾くんがあたしに抱きついたのも見てたんだろう。
そう思った瞬間、胸に突き刺されたみたいな痛みが走った。
「ど、どうしよう……」
見られたくなかった。
考えるよりも先にそう思ってしまった。
”付き合ってるみたいに楽しそうだったね”
とこか寂しそうな声を思い出して、目がじんわりと熱くなっていく。
あたしはなんて馬鹿なんだろう。
こんなことになるまで自分の気持ちに気づけないなんて。
宮尾くんのことは嫌いじゃない。
なのに、宮尾くんに抱きしめられているところを遼くんに見られたことがこんなにもショックだなんて。
今すぐ遼くんに会いに行って、話をしたい。
そう思うのに、あたしの身体はベッドに縫い付けられたように微動だにしなかった。