遼くんは泣き顔がお好き。


あたしの目線に気づいたように宮尾くんが呟く。

「あれ、今日美澄くん来てなくね?いつも呼ばれてもないのに朝っぱらから廊下に居んのに」

「確かに、そう言えば今日朝から見てなくね?」

相原くんの言葉にギクリと肩が強張る。
なんて返事をしたらいいのかわからず曖昧に笑い返すと、タイミングよく担任が教室へ入って来た。





「えー、今日の連絡事項はー…」

先生の声が右から左へ抜けていく。
あたしは例の如く話を聞かずに窓の外をぼんやりと眺めていた。


遼くんと顔を見て話すなら今日しかない。

だってあたし、遼くんの家なんか知らないんだから。


頭ではそう分かってても、何の話をしたらいいのか
どうやって話しかけたらいいのか。

考えただけで頭の中が沸騰しそうになる。


「はぁ……」

知らず知らずのうちにため息が溢れる。
とりあえず1年生の教室まで行って、遼くんが出てくるのを待とう。

それから、遼くんに会えたらー…


そこまで考えたところで頭にスパンと衝撃が走る。

頬杖をついていた顔を慌てて上げると、手に丸めた日誌を持った担任が仁王立ちであたしを見下ろしていた。


「久原、お前目開けたまま寝てんのか?」

「…起きてます」

「話はちゃんと聞くよーに!」


叩きつけられるように言われたセリフにクラス中がクスクスと笑いをこぼす。

苦笑いする江波さんと目があって、誤魔化すようにへらりと笑い返した。


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