遼くんは泣き顔がお好き。
思わず遼くんのブレザーの裾をひっぱる。
変な事しないよね?
そう思って。
「あの、あたしは大丈夫だから…」
だからそんな怖い顔しないで。
そう願いを込めて遼くんの顔を見上げる。
「なーに、れいちゃん。
そんな可愛い顔して」
さっきまでの怖い顔が嘘みたいに消え去って、
ふにゃりと笑う。
まるで犬にするように両頬を大きな手で包むと、
鼻が触れそうな距離であたしを見下ろした。
「ちょっ、りょうく…」
ミカちゃんが居るのに。
慌てて頬を包む手首をつかんだけどびくともしない。
結構本気で引き剥がそうとしてるのに、
猫がじゃれついてるくらいの力しか感じてないみたいだ。
気づけばミカちゃんの姿はなくなっていた。
…またなんか言われてるんだろうな。
香里奈たちとあたしのことで盛り上がる姿を想像して憂鬱な気持ちがどんどん増していく。
「もー…なんでこんなことすんの?
ミカちゃんは遼くんのことお気に入りなんだから、
勘違いするかもしれないじゃん」
「勘違いって何を勘違いするの?」
「あたしたちがー、…その、仲良いとかそういうこと」
「俺たち仲良しでしょ?え、違うの?」
ずいっと顔を覗き込まれて思わず一歩下がってしまう。
圧がすごい。