遼くんは泣き顔がお好き。


放課後のチャイムが鳴ると同時に席を立って廊下に出る。
カバンを片手に靴箱へ向かうクラスメイトたちの背中を何人も見送ってから、お目当ての人を見つけた。

「江波さんっ!!」

「……びっくりした、大きい声」

「ご、ごめん。あの、今日はボールペンありがとう」

「さっきも聞いた。そんなお礼言われることしてないから」

「あの、あのね、今日って暇?バイトある?」


あたしの言葉に首を傾げた江波さんの顔を見つめていると、ありえないくらい心臓がバクバクと音を立てているのが分かった。
思い返してみると、こんなこと初めてだった。

”友達になって欲しい”

なんて、誰かに思ったことなかった。



「もし暇だったら、その、
スタパとか行かないっ?おごるよ!!」


上擦った声に顔が赤くなっていくのを感じる。
だけど目はそらさない。


江波さんともっと話したい。

そう思ったから。



< 63 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop