遼くんは泣き顔がお好き。
なんだか朝から嫌な汗をかいたけど、なんとか教室へたどり着いた。
悲しいかな、気配を消して教室へ入る癖がついてしまって今日も猫背になりながらなるべく目立たないようドアを開けた。
「ぐぇ、」
その瞬間、思い切り何かが顔にぶち当たって思わずうめき声が上がった。
視界が真っ暗だ。
ついでになんだか生温かいような…
顔を上げた瞬間ひっ、と悲鳴をあげる。
「…っ、くはら、さん?」
「……あ、失礼しましたぁ…」
あたしの中で時の人と化している、宮尾くんの顔が視界いっぱいに広がる。
心の中で大絶叫しながら、ずりずりと後退りをした。
なんか今日、こんなことばっかじゃない?
あたしの心臓持ちませんけど?
意味もなくヘラヘラと笑うしかないあたしと、
困ったような顔のまま立ちすくむ宮尾くん。
教室の出入り口を完全に塞いでしまってるのに気づいたのは、それからしばらく経ってからだった。