遼くんは泣き顔がお好き。
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「れいちゃん、帰ろ。」
嬉しそうにひょこっと顔を覗かせた遼くんを見た瞬間、
あたしの頭に何か予感のようなものが走った。
「……まさか」
「何?ほらほら、カバン持って」
いつも通りへらへら笑いながらあたしの手を取る遼くん。
なぜかその顔を見ていると、今日のミカちゃんたちのおかしな態度が次々と浮かんでくる。
ここ最近わざとらしいくらいに嫌味を言われていたのに今日に限ってはなぜか何も言われず、
それどころが目が合いそうになると慌てて逸らされる始末。
普段は睨みつけられるか指をさしてコソコソと何かを囁き合って笑うとか、そんな感じなのに。
…まさか遼くんが何かしたんじゃ…。
「遼くんさ、あのさ、な、何か…」
「ん?」
「…………いや、なんでもない…」
キュッと目を細めて笑ったその顔を見ていると、
なんとなく何も聞かなくなってしまった。
…何したかなんて、怖くて聞けない。
この子ならなんだってしてしまいそう。
あまり長い付き合いじゃないけど、美澄遼という人となりはなんとなく分かってるつもりだ。
要領よくてその見た目から人に好かれてて、誰とでもコミュニケーションが取れるいい子。
ぱっと見はそうなんだけど、どことなく怖く感じてしまうのはその容赦の無さだろう。
遼くんは誰からも好かれてるのに、
自分が必要としてる人とそうじゃない人を明確に線引きしてるように見える時がある。
そしてこれは自惚れじゃなく思う。
あたしはきっと、遼くんの中で”必要としてる人”の部類に入ってるんだろう。