檻の外で咲く恋2
プロローグ:触れられない距離
夜は、静かだった。

あの頃とは違う意味で。

「……」

ソファに座りながら、
小さな寝息に耳を澄ます。

腕の中には、温もり。

「……すぅ」

規則正しい呼吸。

その小さな体を見つめて、
ゆっくりと息を吐く。

「……」

守れている。

今は、ちゃんと。

あの日とは違う。

閉じ込められていた世界も、
逃げるしかなかった夜も。

全部、遠いものになった。

「……」

それなのに。

胸の奥に、わずかな違和感が残る。

消えきらない何か。

「……」

ふと、視線を上げる。

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